食事中のタンパク質源を変更することで腎数値が改善した犬さんの症例
内科学アカデミーの見逃し配信期間の終了まで
残り24時間を切りました。
期間が繁忙期と重なってしまうというのが辛いところですが
まあそれは最初からわかっていることですので
言い訳してないで勉強します。
『食事中のタンパク質源を変更することで腎数値が改善した犬の6症例』という発表を聴きました。
ここの動物病院さんは
他にはあまりない栄養科を設けていらっしゃる大阪の病院さんで
興味深い取り組みを色々とされています。
こちらの動物病院さんでは
年齢が若く腎機能に明らかな問題がない?とされる犬さんの中で
BUNだけ高い子にはタンパク質量の見直しを
Creだけが高い子にはタンパク質源の見直しをするという取り組みをされており
ここの動物病院さんの健康な子の過去の血液検査データを見ると
BUNは高くないけど、Creだけが高い犬さんは比較的若い子が多かったそうです。
で、今回、タンパク質源を変更することによって
その後のCreの数値が正常化したよ、という6症例が発表されておりました。
後半の3症例は、皆同じように魚系の乾物を摂取しており
過去のスルメイカの報告から
魚系の乾物に含まれるDMA(ジメチルアミン)の影響によって
検査上、偽の高値になるのではないかというお話でした。
実際、フジドライケムのスライドの添付文書に書かれてある
検査上の妨害物質のところにDMAの記載があるそうです。
なので、おやつに煮干しなどの魚系の乾物みたいなものを与えている犬さんに関しては
血液検査の際に、Creが高く出てしまう可能性があるという点は注意が必要かもしれません。
ただ、煮干しを食べている子みんなが高くなるわけではないので
魚系の乾物系が絶対ダメ、とかそういう話ではありませんのでご注意ください。
で、前半の3症例に関しては
魚系の乾物を与えているという情報はなかったものの
1症例目の子は手作り食で、タンパク質源に鮭を使用しており
2症例目の子は総合栄養食をベースに、生の刺身や魚類をトッピングしており
3症例目の子は総合栄養食に、コラーゲンサプリ、カツオのおやつ、ふりかけなどが使用されており
1人目の子はタンパク質源を魚以外にし
2症例目の子はトッピングを中止するか別の肉類に変更してもらい
3症例目の子はサプリメントやトッピングを中止してもらった結果
いずれの犬さんもCreが正常値に戻ったとのことでした。
ちなみに1症例目の子のCreの経過を簡単に書いておくと
手作り食を開始してから
1.3→1.6→2.1→2.4と上昇していき
中止後は、1.0、1.19と明らかに低下しているので
食事の関連性が疑われる感じです。
これらの犬さんに関しては
尿検査やエコー検査での腎臓の構造なども確認されており
明らかな腎臓病がないということは確認された上で経過を観察されております。
明らかな腎臓病がないのに
クレアチニンだけ高いのはなぜなんだろう??となった時に
今回の発表は一つのヒントを与えてくれることになるかもしれないですね。
BUNやCre、SDMAなど
血液検査の単項目が高いという理由だけで慢性腎臓病と診断されてしまい
療法食や薬物療法を推奨されてしまう健康診断シーズンではありますが
純粋な慢性腎臓病以外にも
上記のような腎数値が高くなるケースも存在するんだよ、という情報によって
そういった誤診やご処方に、ちょっと待ったをかけることもできるかもしれませんので
知っておいていただいても良いのではないかと思います。
実際には健康診断によって慢性腎臓病が早期に発見されるケースも
もちろんありますので
健康診断自体はすごく有用だとは思いますが
腎臓病の診断に関しては
血液検査の複数項目の確認、経時的な変化の確認、尿検査、画像検査などを
総合的に判断する中で診断していただければと思います。
それでは、今日はこのへんで。