漢方のお勉強② 腎泌尿器系?
今回は腎泌尿器系とAIが判断した漢方たち。
猪苓湯、辛夷清肺湯、牛車腎気丸。
主に泌尿器系になるんでしょうかね。
でも、五苓散とかは消化器疾患や循環器疾患にも使いたいなと個人的には思っています。
牛車腎気丸も名前がかっこいいから
適応症例があれば、使用してみたい漢方。
いや、ただ名前を呼びたいだけかもしれないし
これゴシャジンキガンって読むんだよって言いたいだけかもしれない。
もっちーは男の人の漢方だって言ってました。
あんまり意味はわかりません。
とりあえず、メモがわりに投稿しておきます↓
(何度も言いますが、動物でのエビデンスはほぼないです。)
① 猪苓湯(ツムラ40:Choreito, CRT)
【結論】
ヒトでは下部尿路症状(LUTS)・急性膀胱炎の症状緩和・過活動膀胱(OAB)・膀胱痛症候群/間質性膀胱炎(IC/BPS)に使われ、実臨床や基礎で有効性シグナル。犬猫では頻尿・排尿痛・残尿感・再発性膀胱炎の症状緩和の補助療法として妥当。抗菌薬の代替ではない。
【根拠】
- 日本の実臨床・処方状況を解析した総説:CRTは膀胱炎・LUTS・OABで頻用。症状(頻尿・排尿痛)軽減に寄与。 PMC
- IC/BPSモデルで膀胱痛・排尿過活動を軽減(動物・探索的)。 PubMed
- 女性LUTS対象の臨床研究(2025報告)で症状改善シグナル(査読誌):CRTの短期効果を検討。 Wiley Online Library
- ツムラ添付文書(TJ-40):尿量減少・排尿困難・口渇、腎結石、血尿、残尿感等を効能・効果として記載。 ツムラ
【注意点・例外】
- 安全性:重篤な副作用は稀。長期では肝機能障害の可能性は理論上ゼロではない(一般的漢方の有害事象)。甘草は不含のため偽アルドステロン症リスクは相対的に低い。
- 位置づけ:細菌性膀胱炎では第一に抗菌薬。CRTは症状緩和・再発抑制の補助。
- 獣医での用量:標準化データはわからない。尿検査(比重・沈渣・培養)と症状スコアで効果判定(専門家に確認が)。
- 中止基準:発疹、食欲低下、肝酵素上昇など。
【出典】
ツムラ猪苓湯 添付文書、泌尿器領域総説・データ、IC/BPSモデル研究。 Wiley Online Library+3ツムラ+3PMC+3
【確実性: 中】(ヒト実臨床データは増加中だが、犬猫の直接試験は不足)
② 五苓散(ツムラ17:Goreisan, GRS)
【結論】
水分代謝異常(浮腫、嘔吐・下痢、めまい、頭痛、熱関連)に広く利用。機序面ではアクアポリン4(AQP4)抑制を介した浮腫軽減が繰り返し示される。犬猫では嘔吐・下痢・浮腫・めまい様症状の補助に有用。脱水が強い場合は先に補液。
【根拠】
- 脳浮腫モデル:GRSがAQP4の上昇を抑え脳浮腫を軽減(小児虚血性脳症ラット、MCAOマウス)。 PMC+1
- 総説:AQP4抑制と水輸送調整が主要機序で、浮腫関連病態への応用可能性。 Wiley Online Library+1
- 安全性情報:まれに肝機能障害などが報告(一般的注意)。 PMC
- ツムラ添付文書(TJ-17):浮腫・悪心嘔吐・めまい・頭痛等に適応、用法・保管など。 ツムラ
【注意点・例外】
- 甘草含有 → **偽アルドステロン症(低K・高血圧・浮腫)**に注意。利尿薬・ステロイド併用時はK+管理を強化。
- 獣医用量:わからない。低用量から開始し、K+・Na+・腎機能を2–4週ごとにチェック(専門家に確認が)。
- 中止基準:低K、浮腫悪化、血圧上昇、肝酵素上昇。
【出典】
AQP4関連の動物研究・レビュー、添付文書、安全性レビュー。 PMC+4PMC+4PubMed+4
【確実性: 中】(機序は強固、症候へのヒト高品質試験は限定、動物は外挿)
③ 牛車腎気丸(ツムラ107:Goshajinkigan, GJG)
【結論】
ヒトでは糖尿病性末梢神経障害や化学療法性末梢神経障害(CIPN)で多数の比較試験がある一方、大規模RCT(GENIUS)では予防効果が否定的という結果も存在。総じて症状軽減のシグナルはあるが結論は混在。犬猫では老齢でのしびれ/神経痛、冷え、夜間頻尿に補助的に検討。ただし附子(加工ブシ)を含み不整脈等のリスクに注意。
【根拠】
- 多施設ランダム化比較試験(2024):パクリタキセル誘発CIPNの予防効果を前向きに検証(試験実施報告)。 PMC+2PubMed+2
- GENIUS試験(2015, 二重盲検プラセボ対照, FOLFOX):予防効果を示さずという結論。エビデンスは一貫せず。 cjon.ons.org
- 糖尿病性神経障害:古典的RCTや長期試験で症状軽減・振動覚改善の報告。 PMC+1
- ツムラ添付文書(TJ-107):しびれ・腰痛・頻尿・浮腫など体力低下・冷えを伴う高齢者の諸症状に適応。 ツムラ+1
【注意点・例外】
- 安全性:附子由来の心毒性(不整脈・血圧低下)に留意。漢方共通の肝障害・間質性肺炎は稀だが念頭に。
- 相互作用:利尿薬・ACE阻害薬等と併用でK+異常に注意。抗不整脈薬・ジギタリス併用時は心電図・電解質を厳重モニター。
- 獣医用量:わからない。極低用量から漸増し、心拍・血圧・K+・腎/肝を定期監視(専門家に確認が)。
- 中止基準:不整脈様症状、筋力低下、著明な低K、肝酵素上昇、呼吸器症状。
【出典】
最新の多施設RCT報告/計画、GENIUS試験(陰性)、糖尿病性神経障害の臨床研究、添付文書。 ツムラ+5PMC+5PubMed+5
【確実性: 中】(人では試験混在、犬猫は外挿)
🏥 動物病院での実務(3処方共通)
【結論】
- 導入:単剤・低用量開始(例:小型犬/猫 0.4–0.6 g、1–2回/日)→2–4週で効果判定。
- モニタリング:体重・症状スコア、K+・Na+・AST/ALT・BUN/Crを2–4週ごと。
- 中止/受診基準:嗜眠、嘔吐増悪、下痢増悪、浮腫、不整脈、明らかな食欲低下。
- 位置づけ:原因治療が最優先(細菌性膀胱炎は培養に基づく抗菌薬、結石は食事/外科、脱水は補液)。漢方は補助。
【根拠】
ヒトの効能・安全性データ(添付文書)、主要臨床試験、機序研究に基づく獣医への外挿。 ツムラ+2ツムラ+2
【注意点・例外】
- 甘草含有(五苓散):**偽アルドステロン症(低K・高血圧・浮腫)**に注意。
- 附子含有(牛車腎気丸):心毒性。心疾患・不整脈素因では慎重。
- 多剤併用:利尿薬・ACE/ARB・抗不整脈薬・NSAIDsなどと併用時は電解質と腎機能を厳格管理。
- 犬猫での至適用量・薬物動態は未確立=わからない(専門家に確認が)。
【出典】
各社英語版PI・総説・機序論文・臨床試験。 ツムラ+2ツムラ+2
【確実性: 中】(ヒトのエビデンスを主に、獣医は外挿)
🐕🦺 犬猫への“症状↔処方”クイック指針
【結論】
- 頻尿・排尿痛・残尿感→ 猪苓湯(抗菌薬後の症状残存にも)。
- 嘔吐/下痢+浮腫・めまい様→ 五苓散(脱水強ければ補液先行)。
- 神経痛・冷え・夜間頻尿+高齢→ 牛車腎気丸(心毒性チェック必須)。
【根拠】
ヒトでの適応・効果と機序(AQP4・神経障害性疼痛・下部尿路症状)に基づく。 PMC+4ツムラ+4ツムラ+4
【注意点・例外】
- 尿培養陰性の疼痛性頻尿ではIC/BPSの可能性。CRTは症状緩和の補助。
- 五苓散の長期はK+低下へ注意。
- 牛車腎気丸は不整脈/低K/腎不全でリスク増。
【出典】
上掲。 PMC+2PMC+2
【確実性: 中】(外挿のため)