皮下点滴の適正化
もっちーがアメブロの方で皮下点滴について論じて
それに過去1番のいいねがついているということは
それだけ関心があるということだったり
当事者として、家の子に皮下点滴を定期的に実施されている人が多いのかなと思いました。
実際どのくらいの人が皮下点滴しているのかなあと疑問に思ったこともあり
SNSで聞いてみたら
思った以上の反応があり
世の中にはこんなに皮下点滴している人が多いんだと気付かされました。
ただ、日々診療をしていると
3年前に血液検査で慢性腎臓病と診断されて
そこから2日に一回100mlの皮下点滴をずっと続けています、的な
そういう方も度々いらっしゃいます。
確かに昔は
BUN70、Cre2.8とかなると
犬さんも猫さんも
定期的な皮下点滴が必要ですねーってなってたような気がしますし
僕も勤務医の時とか、特に何の疑問を抱くことなく点滴してました。
静岡に来るぐらいから
人医療の方でも過剰輸液の弊害とかが叫ばれるようになったこともあり
輸液という治療方法について見直す機会が多くなり
冷静に、『この皮下点滴って本当に必要なの?』と考えるようになりました。
結果的に
特殊な例を除き、昔みたいに2日に1回の皮下点滴を
何ヶ月も何年も定期的にしている子というのはゼロになりました。
勤務医時代はお盆休みの時とか年末年始の時とか
勤務している動物病院が長期休みになるたびに
皮下点滴に通っている患者様の時間を合わせて
休日の当番みたいな感じで、一日に何件も皮下点滴をしていたのが嘘みたいです。
あの当時は
皮下点滴をしているから慢性腎臓病の患者さんでもこれだけ生きれるんだなって思ってましたけど
今では、おそらく皮下点滴をそんなにしなくても同じ期間過ごすことはできたのかなと思ってます。
なんなら
脱水のないステージが進んでいない慢性腎臓病の子に
ずっと2日に1回とか毎日とかの皮下点滴を入れ続ける方が
結果的に生存期間を縮めちゃうこともあるんじゃないかな、とか最近では思っています。
皮下点滴を実施した後に元気になる子とか食欲が出る子とか
明らかに脱水している子とか、確実に脱水することが想定される子には
すごく良い治療方法だとは思うんですけど
その子の状態とかも見ないで
盲目的に3日に1回だの、2日に1回だのと何年も続けるのは
ちょっと違うんじゃないかなと思うわけです。
そういうことを発信していきたいなあって思ってるんですけど
基本的に人って
自分がやってきたことを肯定したいという心理的なバイアスみたいなのがかかると思うんですね。
あんまりやっていることを否定するのも良くないと思いますし
良かれと思って指摘したことが相手の感情を逆撫でることもあったりすると思うんで
相手を傷つけない表現方法というのはなかなか難しいですね。
診察も一緒か。
何事もそうですが
思考を挟むことなくルーチンで同じことを続けていくということには
一定のリスクがあると思っています。
犬猫さんも人間もみんな動物です。
基本的にはその日その日によって状況は変わる動的な存在だと思っています。
動的な存在には動的な思考で対応していく方が良いんじゃないかなと
僕は思うんです、っていうお話でした。
それでは。