猫さん情報論文の要約 by chatGPT
犬猫さんの糞便移植に関する論文②
今日は糞便移植シリーズ?の第二弾。

慢性腸症の猫さんに単回の糞便移植を実施し
その効果を評価した研究ですね。
では、chatGPT様に要約してもらいましょう↓
📄 論文情報・目的
- タイトル:Single Enema Fecal Microbiota Transplantation in Cats With Chronic Enteropathy
- 雑誌:Journal of Veterinary Internal Medicine
- 目的:猫の慢性腸症(Chronic Enteropathy; CE)に対して、単回注腸(enema)式FMT を適用し、腸内細菌異常(Dysbiosis Index; DI)および臨床活動性スコア(FCEAI)の改善を評価すること。
- 仮説:単回FMTが、猫の腸内細菌叢異常を改善し、臨床症状を軽減する可能性がある。
背景には、猫のCEでは腸内細菌叢の崩れ(dysbiosis)が関与している可能性が指摘されており、FMT は腸内環境の修復を通じて補助的治療手段になりうるという認識があります。ResearchGate+2Wiley Online Library+2
🧪 対象・方法
対象
- 28頭の猫が登録
- 内訳:慢性炎症性腸症(CIE) 19頭、小細胞消化管リンパ腫(SCGL) 9頭 PubMed+2ResearchGate+2 - 登録基準:持続/反復する消化器症状(下痢、嘔吐等)、他疾患否定、過去一定期間の免疫抑制薬・抗生物質使用制限 など ResearchGate+2Wiley Online Library+2
群分けと盲検化
- FMT群(11頭):単回注腸FMT を受ける
- 対照群(17頭):従来治療継続、FMT 不実施
- 施行者・再評価者・飼い主はどの群かは“盲検化”された(再評価時点でどちらかを知らないように)設計。ResearchGate+2Wiley Online Library+2
FMT 実施プロセス
- ドナー糞便調製:3 匹の無関係ドナー猫の新鮮糞便(採取後 12 時間以内)を使用
- 量・濃度:2 g/kg の糞便を 1:3 生理食塩水懸濁
- 投与量:8 mL/kg の懸濁液を注腸投与
- 投与時の体位・手技:全身麻酔下、左側臥位+体尾部を 30°上げ、注腸後 10 分間ずつ仰臥・左側臥位を保持して分布促進
- FMT は大腸内視鏡・生検後に実施
- 対照群には偽注腸操作(注腸操作のみ)ではなく、実質的無処置(enema なし)とされている点は盲点とされている。ResearchGate+2Wiley Online Library+2
評価指標・時点
- Dysbiosis Index(DI):猫用 qPCR ベース評価(Bacteroides, Bifidobacterium, Clostridium hiranonis, E. coli, Faecalibacterium, Streptococcus, Turicibacter を対象)ResearchGate+1
- Feline Chronic Enteropathy Activity Index(FCEAI):臨床スコア(態度/食欲/嘔吐/便性/体重減少)+血液化学パラメータ(総蛋白増加、ALT/ALP 増加、リン低値)を含む複合スコア。ただし、内視鏡所見項目は再評価されずスコア計算から除外。ResearchGate+2PubMed+2
- コントロールされた治療背景:全例に予防的駆虫、可能な限り同一の加水分解プロテイン食(Royal Canin Anallergenic)を投与、コバラミン補充あり、非反応例にはプレドニゾロン ± クロラムブシル併用。ResearchGate+2PubMed+2
- 評価時点:FMT 実施直前(T0)および 30 日後(T1)で DI, FCEAI を比較。PubMed+2ResearchGate+2
統計解析
- 正規性検定:Shapiro–Wilk
- 非正規データの比較:Mann–Whitney(群間比較)/Wilcoxon 符号付順位検定(T0 vs T1)
- 有意水準 p < 0.05
- 統計ソフト:GraphPad Prism 8 等使用と記載
- 事後的に検出力を算定したところ、FCEAI の群間差検出力(power)は 0.05、DI 差検出力は 0.24 と低く、Type II エラーの可能性が高いと著者も言及している。ResearchGate+2Wiley Online Library+2
🔍 結果・観察
ベースライン細菌叢・DI 分布
- T0 時点で 14/28 頭(半分以上) が DI > 0(異常)
- そのうち、軽度異常(0–1) 4 頭、より顕著異常 (>1) 10 頭
- 種別菌:Clostridium hiranonis の低値症例が認められ、SCGL 群では C. hiranonis の存在比率が CIE 群より低く、有意差あり(p = 0.03)という報告も。ResearchGate+2PubMed+2
DI(腸内細菌異常度)の変化
- FMT 群:T0 → T1 変化は平均 0.01 → 0.7、p = 0.47 → 統計学的有意差なし
- 対照群でも T0 → T1 変化に有意差なし
- 群間(T1 時点 DI)比較でも FMT 群 0.7 vs 対照 0.8(p = 0.92)と差なし
- 各菌種(例:C. hiranonis 等)についても、FMT 群での有意な変動は確認されず
- 一部例では DI 増加例も見られ、FMT による改善が一方向とは限らない傾向も示唆
- また、DI は時間変動性を持ち、短期的変動が生じうる可能性も筆者らが指摘している ResearchGate+2Wiley Online Library+2
FCEAI(臨床活動度スコア)の変化
- FMT 群:T0 median 10.0[IQR 7.7–11.3] → T1 median 4.5[IQR 4.0–5.0]、p = 0.002 → 有意に改善
- 対照群:T0 median 9.0 [7.0–11.0] → T1 median 3.5[3.0–5.8]、p < 0.001 → こちらも改善
- ただし、**群間比較(T1 時点)**では FMT 群 4.5 vs 対照 4.0(p = 0.64)で有意差なし
- すなわち、臨床スコアは両群とも改善傾向を示したが、FMT 効果を群間で統計的に証明できなかった
- また、T1 時点でスコアの悪化例はなし。改善方向が主な変化傾向。 PubMed+2ResearchGate+2
副作用・安全性
- 重篤な有害事象報告なし
- FMT 群で消化器症状悪化や新症状の出現は報告されず、安全性上は忍容性ありと判断
- ただし、注腸操作自体の侵襲性・麻酔リスクなども考慮されうるが、顕著な問題例は報告なし PubMed+1
🧠 著者の議論・考察
著者らは以下のような点を挙げています:
- 単回 enema FMT は補助治療としては限定的な効果
- DI や FCEAI において対照群との差を示せなかったため、「単回FMT だけでは猫の CE における微生物叢・臨床改善を安定的に誘導できない可能性」
- ただし、FMT を補助治療として用いる設計であり、他の治療(食事療法/免疫抑制療法等)との併用を前提とした試みであることを強調。 - 改善が見られた例もあるが、それが FMT 効果か他因子かは因果が明示できない
- 猫はいずれも食事変更・コバラミン補充・ステロイド/化学療法などの併用治療が施された例があり、これらの影響を排除できない。
- 臨床スコアの改善が観察されても、FMT 単独効果とは断定できないとの慎重な姿勢。 - 投与量・頻度・回数・ドナー選定・投与ルートが影響因子
- 他報告(犬・猫)では、複数回投与・ドナー混合使用・高用量投与などが有効例を生んでいるとの文献もある。
- 猫では より強力、反復的なプロトコル が必要かもしれない。
- 投与ルート(経口カプセル型等)や投与頻度を比較する研究が不足している。 - 統計的検出力の限界
- 事後解析で、FCEAI 群間検出力 0.05、DI 差検出力 0.24 と非常に低く、群間差を検出するには症例数が不十分という可能性を認めている
- すなわち「負の結果」は検出力不足(偽陰性リスク)による可能性も排除できない。 - 猫における微生物叢の可塑性・変動性
- 猫の腸内細菌叢は個体差が大きく、障害後の回復性が限られる可能性。FMT 効果を長く維持するのは犬よりも難しいかもしれない。
- また、腸粘膜損傷・バリア機能低下などが進行している症例では、FMT の菌定着性が低い可能性。 - 将来の研究への提案
- より大規模な、複数回FMT・異なるルート を比較する試験
- 長期追跡・中間時点評価(1週・2週・4週など多時点)による DI 変動追跡
- ドナー選定基準・菌量測定・保存方法最適化
- 猫を対象とした RCT(無作為化対照試験)の必要性
✅ 総括・インパクト
- この研究は、猫の慢性腸症に対する 単回注腸型FMT の効果を、前向き・対照入り設計 で評価した比較的新しいデータとして意義を持つ。
- その結果、DI(腸内細菌異常度)・FCEAI(臨床スコア)の群間差を証明できず、つまり「FMT 群が明確に対照を上回った」と言える証拠は得られなかった。
- とはいえ、FMT 群内で 臨床スコア改善 は観察されており、完全に可能性を否定するものではない。
- ただし、単回投与・短期間評価 の制約のため、「無効」結論を出すには慎重であるという著者側のスタンスが明確。
- 臨床的応用を考えるなら、現時点では 試験的補助療法 として捉え、複数回投与・継続運用 を視野に入れたプロトコル設計が必要。
今後、犬さんも猫さんも
おそらく慢性炎症性腸疾患の治療選択の一つとして登場するであろう糞便移植。
この報告は単回投与の評価ではあるものの
猫さんへの糞便移植の具体的な方法を示してくれていたりで
今後のためになりそうな報告かなと思います。
症例数自体は少ないですし
臨床スコアの改善についての効果があるのかどうかの結論は出ないのかもしれませんが
複数回投与を続けることで効果を得られる可能性も十分あると思いますし
上にも書いてありますが
他の治療方法と併用することで、良い効果をもたらす可能性もあると思います。
ただ、便を腸に投与する際に全身麻酔をかけないといけないというのが
一つネックなところでしょうか。
処置時間としてはそれほど長くはならないのだと思いますが
これを複数回実施するとなれば
症例の状態によっては全身麻酔が一つのハードルになるのかなとも思います。
どの猫さんの糞便を用いるのかという
ドナーの選定についても何かしら基準があった方が良いと思いますしね。
そういった意味でも
今後、研究が進んでくれることに期待する感じでしょうか。