猫さんの神経病
昨日、一昨日と参加してきたWJVFという学会の中から
いくつかの講演をピックアップして
ここでも取り上げたいと思います。
講義を聴いて、なんとなくまとめたものを共有できたらと思います。
というわけで、今日は猫さんの神経疾患について。
神経疾患というと
脳とか脊髄の疾患の話になるわけなんですが
動物病院での病気のイメージって
どうしても犬さんを基準に考えられがちな部分がありまして
まずは猫さんの神経疾患ってわんちゃんとは全然違うんだよ、というところから
書いていきたいと思います。
猫さんは脳の中の大脳という部分はそれほど発達していない動物でありましてと
その逆に、小脳は大脳と比較して大きいんですね。
そのため、大脳に疾患を抱えていても
症状を示さない場合も少なくなく
大脳に大きな腫瘍がある猫さんでも、歩行が可能だったりします。
逆に小脳の病変は症状が出やすいとされています。
小脳は、運動の制御やバランスを司るようなイメージの場所ではあるので
俊敏な動きであったり、上下運動に障害が起こりやすいとされています。
キャットタワーに登れなくなる、とかがその症状の一例になります。
また、猫さんは項靭帯という首の後ろを支える靭帯がないという点と
構成筋肉が犬さんとは違うという点も解剖学的な特徴の一つです。
構成筋肉の違いというのは
いわゆる赤筋と白筋というやつでして
マグロとヒラメみたいな感じでイメージしていただくとわかりやすいかもですが
持久力のある筋肉か、瞬発力のある筋肉か
どっちで構成されているか、という話です。
犬さんは持久力のある赤筋で、猫さんは瞬発力のある白筋で構成されています。
なので、これらの解剖学的な特徴から
神経症状を示す際に
首を曲げてしまったり、頭が上がらなくなったり
そんな症状が発現することが多いとされています。
これも猫さんの特徴の一つなわけですね。
次に、病変の場所と好発疾患の違いについて
犬さんと猫さんで比較したいわけですが
そろそろ長くなってきたので、手短に。
先ほども書きましたが
神経の疾患というと
大きく、脳の疾患、脊髄の疾患、末梢神経筋の疾患に分かれます。
特に多いのは
脳の疾患と脊髄の疾患です。
報告上、神経疾患の内訳としては
わんちゃんは脳の疾患が38%、脊髄疾患が57%とされており
猫さんが脳疾患が63%、脊髄疾患は17%なので
ここでも犬さん、猫さんで全然違いますよね。
この脳と脊髄に絞って
犬猫さんそれぞれで比較していくと・・・
わんちゃんの脳に好発する疾患のTOP3が
・特発性てんかん 36%
・非感染性脳炎 24%
・脳腫瘍 21%
であるのに対し
猫さんの脳に好発する疾患のTOP3は
・脳腫瘍 32%
・特発性てんかん 28%
・感染性脳炎 13%
となっています。
脊髄に発生する疾患に関しては、もっと違いがありまして
犬さんは
・椎間板ヘルニア 79.6%
・脊髄腫瘍 4.5%
・脊髄梗塞 4.2%
であるのに対し
猫さんは
・脊髄梗塞 35%
・脊髄腫瘍 23%
・感染性脊髄炎 14%
となっており
動物種が違えば、好発する疾患も全然違うことがわかります。
両方の後肢に麻痺を認めます!的な猫さんが来院された際に
わんちゃん同様に、これは椎間板ヘルニアなのかな??は
かなりナンセンスな診察ということになりますね。
猫さんの脊髄疾患で最も多い脊髄梗塞の治療は
理学療法となりますので
犬さんの椎間板ヘルニアの時に安静にすることとは
反対の治療が適応になってきます。
そういった意味でも
動物種ごとの違いに関しては
きっちりと把握しておく必要があると思われます。
それでは、今日はこの辺で失礼いたします。