猫さんの尿管閉塞に対するタムスロシン②
昨日お伝えしました通り
今日は尿管閉塞を疑った猫さんに
実際にタムスロシンの使用が奏功した症例について書こうかと。
①8日前ぐらいに他院にて腎臓病と言われた猫さん。
その時のクレアチニンが10.7。
うちに来た時が15.17。
この時の左の腎臓のエコーがこんな感じ。

腎盂が4mm以上に拡張しています。
腎盂ってなんぞや?って方は、ググっていただけるとすぐに出てくるかと思います。
腎盂が拡張してるってことは、尿管の圧力が高くなっている状態であり
その先の尿管内の狭窄や閉塞が疑われるわけです。
で、治療開始4日目のエコーがこちら。

腎盂の拡張は1.3mmまで小さくなりました。
尿管の圧力が解放された感じでしょうか。
ちなみにクレアチニンも6.5ぐらいまで低下してました。
で、その1週間後。

すごいですね。もうほとんど普通の腎臓に近い感じになっていました。
クレアチニンも3.5ぐらいまで減少。
元気も食欲も改善してきました。
②健康診断で腎盂の拡張が見つかった猫さん。
この子は健康診断での検査だったので
食欲も元気もいつも通り。
もちろん腎臓の数値にも何の変化もありませんでした。
でも、左の腎臓はこんな感じ(ちなみに右は正常でした)。

腎盂が1.3mmで軽度に拡張しています。
ただ、症状がないしなあ、ってことで
僕はここで1週間様子を見させていただきました。
そうすると1週間後がこっち↓

明らかに腎盂の拡張は酷くなっています。
猫さんはすごく元気で何にも変わりないそうなんですけど
流石にちょっとこれは見過ごせないなと思い
タムスロシンを処方します。
その2週間後がこちら↓

明らかに良くなってるんですね。
やっぱりタムスロシンって効くんだなあって実感した症例でした。
③三日前から嘔吐が頻回に起きている猫さん。
触診上で、左の腎臓が腫れているのがわかりました。
血液検査ではクレアチニンが9.5。
エコーだと左の腎臓がこんな感じ↓

もうだんだんわかってきましたかね。
腎盂が拡張しています。
で、同じように治療を開始。
二日後のエコーがこちら↓

ちょっと拡張具合は軽減してきています。
嘔吐もなくなり、ほんの少し元気も出てきたかな、という感じ。
食欲もほんのちょっと出てきました。
で、その翌日↓(これが今日なのでさっき撮ったエコーです。)

さらに腎盂の拡張具合は改善してきています。
食欲も改善してきており、元気も出てきているような状態。
やっぱタムスロシン効くのかなあって感じの猫さんです。
この御三方とも
みなさん大体の体重が似通っておりまして
およそ4kgちょっと。
タムスロシンの0.1mg錠の半錠を1日2回で飲んでもらっていたので
11-12mg/kgぐらいになるでしょうか。
やはり昨日書いた報告の通り
以前の報告よりもタムスロシンの用量を上げることで効果があったのかもしれません。
もちろん
こういった症例での経験だけで結論づけてはいけないとは思いますが
こういう経験の積み重ねが徐々に医療を変えていくのかなあ、とか
そんな風には考えながら日々診察をしています。
また、症例が増えたらここでも報告しますね。
それでは。