猫さんの尿管閉塞に対するタムスロシン①
ここ2ヶ月ぐらいで
三人ぐらいの猫さんの命を救ってくれてるんじゃないかというお薬がこちらのタムスロシン。

何に使っているかと言いますと
猫さんの尿管閉塞に対して処方させていただいております。
2022年に韓国のグループが尿管閉塞の猫さんに対するタムスロシンの効果について報告。

ここで内科的なタムスロシンが有効とされた猫さんは31.4%という数字でした。
この論文の中で使用されたタムスロシンの用量は4-6μg/kg SID-BID。
3割だとちょっと反応率が低い印象でしょうか。
で、2023年、一昨年の腎泌尿器学会の発表で
この韓国のグループよりも用量を増やした症例はどうだったかの報告がありました。
というのも犬さんの報告にはなるのですが
2006年の報告にタムスロシンが用量依存性に尿道内圧を下げられるという発表がありまして。

尿管閉塞に対しても高用量で使ってみたらってなったのかなと思います。
その2023年の鹿児島大学のグループの発表では
投与したタムスロシンの用量が約10μg/kg SID-BID。
治療が有効と判定されたのが51%。
半分の症例が内科的に有効って結構すごいことかなと思うんですね。
これを受けて、当院でも
尿管閉塞を疑う症例に
この用量でタムスロシンを使用する機会が増えました。
ただ、用量依存性に尿管閉塞に対しての効果を認めるのは良いものの
用量を増やすと、それだけ副作用というものも心配になってきてしまうわけです。
で、再度調べてみると
こんな論文も出てきました。

健康な猫さんの尿道に対するタムスロシンの効果を調べた研究です。
この中では、100μg/cat SIDの用量で使用されており
今までの報告と比較するとかなり高用量な気もするのですが
結果的に、副作用として心配された低血圧を引き起こすような猫さんはいなかったみたいです。
じゃあ、もしかしたら
10μg/kg BID以上で使用しても
安全により有効率を上げることができたりするのかなあ、とか。
内科的に管理する方が良い症例と
すぐさまの外科的介入が必要な症例の線引きとか見極めとか
そのあたりが今後明らかになると
助けられる猫さんたちが増えそうな気がします。
本当は、ここ最近タムスロシンを使用することで
尿管閉塞が改善したよ、的な症例の腎臓のエコー像を載せる予定だったんですけど
もうこんな時間ですし
ちょっとここまでで長くなっちゃったんで
それは明日できそうなら明日にしたいと思います。
そんなわけで
今日は、尿管閉塞の猫さんに対するタムスロシンの効果について書いてみました。
明日は、その実際の症例についてです。
それでは。