熱中症?
暑い日が続くと
毎年あるあるではありますが
『これって熱中症ですか?』的なお問い合わせや
ご不安な声が増えてくる傾向にあります。
確かにここ最近すごく暑いですもんね。
熱中症自体、かなり恐ろしい病態でありまして
正真正銘の熱中症状態になった犬さんの死亡率は50%に及ぶと言われたりもします。
ただ、実際のところ
ここ数年、ガチの熱中症の犬さんを診察する機会は
僕の記憶的にはほとんどないのではないかと思います。
5年前に秋田犬の子が炎天下の中3時間ほど外にいたという子は
その後の多臓器不全の様相を呈したことを考えると
真の熱中症だったのではないかと思いますが
それ以外に熱中症と診断した記憶はないように思います。
普通に考えれば
室内にいて
いつでも水が飲めるような環境で
エアコンがかかっている状態であれば
熱中症になることはないんじゃないかなとも思うわけなんですが
やっぱり外気温はそれなりに高いですし
心配にはなってしまいますよね。
特に、神経疾患などを患っていて
自分で水を飲みにいけない子達や
短頭種気道症候群などの呼吸器疾患を患っている子などは
熱中症には確かに注意だとは思います。
ただ、いざ動物病院に連れて行って
体温を測定してもらい
その結果が熱があった場合
それは熱中症からの高体温ではなく
何かしらの疾患が原因での発熱の可能性が高いのではないかと思います。
ご家族が熱中症かな?と思って病院を受診するのは理解ができますが
熱中症になりうるような環境下に身を置いていない動物の診察時に
獣医師が体温を測って、熱中症かもしれないですねーというのは
ちょっと違うのかな、と。
言葉の綾みたいな感じでそう伝えることはあるのかもしれませんが
目の前に発熱を認める動物がいるのであれば
熱中症とか言ってないで
その原因究明を先にすべきなのかなと思います。
人間は
それこそ風邪引いた時なんかも熱が出たりするわけですが
犬猫さんは人間ほど発熱を認める場面というのは多くありません。
熱中症になるような環境下にいなかったのであれば
何かしら発熱の原因になる疾患が隠れている可能性が高いですし
できるだけ早く治療介入をしてあげる方が良い場面が多いと思います。
熱中症には注意なシーズンだとは思いますが
熱中症による高体温と、発熱とはまた別なんですよ、ということだけ
覚えておいていただければと思います。
それでは今日はこの辺で。