慢性腎臓病の猫さんが処方されるセミントラの話
今日は昼に時間があったので
先日行われていた猫さんの腎臓病セミナーを聴いていました。
そのタイトルが
『猫の慢性腎臓病を整理しよう~モチベの高い飼い主のために~』というものでした。
最近は、どこの動物病院さんでも
意識の高い猫さんのご家族様が増えてきているみたいです。
その講演の中で
セカンドオピニオンとかで
『腎臓病の薬と言われて、セミントラを飲んでます。ただ尿検査はしたことないです。
これって大丈夫なんでしょうか?』的な質問があるという話がありました。
つい先日、別の先生も
腎臓病のお薬、という名目で
セミントラとかフォルテコールを処方されている猫さんを診察することがよくある
とおっしゃられておりました。
全国どこでも状況は変わらないのかもしれません。
上記の講演の中でも
猫さんの慢性腎臓病において尿蛋白が出現する症例自体
かなり数が少ないというお話をされていました。
実際、論文上の報告でも
猫さんの尿蛋白が問題となることが多いのは
蛋白漏出性腎症(PLN)であるとされており
このPLNの発生年齢の中央値が3.5歳とされていますので
いわゆる中高齢以上の猫さんが罹患する慢性腎臓病とは別の病態となります。
なので
処方する機会がないわけではないとは思いますが
セミントラを慢性腎臓病の猫さんに処方する機会はすごく少ないはずなんですよね。本来は。
でも、『セミントラ 猫 ブログ』とかで検索していただくとお分かりいただけるかもしれませんが
世の中にセミントラを処方されている猫さんってめっちゃたくさんいます。
中には、セミントラが一時期入荷できなかったこともあり
セミントラの代替品としてラプロスが処方されました、的な報告を書いてあるものまであります。
そもそも、薬剤としての効能が違うので
テルミサルタンの代替としてベラプロストナトリウムを処方するというのは
いかがなものかとは思いますが
単純にどっちも腎臓病の薬なんだからどっちでも良いでしょって感じなのかもしれません。
このセミナーは
僕らの大学の先輩にあたる猫専門病院の有名な先生がされていたものになるのですが
最後の方の質問で
『セミントラやラプロスの登場で、慢性腎臓病の猫さんの寿命は伸びたと思いますか?』
というものがありました。
結果、先生の回答は
『あんまりわかんないですね。』でした。
実際の臨床の現場の感想としては、これが全てなのかもしれないですね。
この質問の回答の際に
ミルタザピンを使う人が増えてから慢性腎臓病の猫さんの寿命は伸びたような気がすると
おっしゃっていました。
耳に塗るミラタズ軟膏もそうですし、経口薬としてのミルタザピンもそうですが
やはり、食べることは慢性腎臓病にとってはすごく大事な治療の一つなんだと思います。
話が逸れましたが
皆様のおうちの子が処方されているお薬は
何のために処方されているのか、今一度知ってもらう方が良いんじゃないかと思います。
あんまり何の考えもなしに薬が処方されているケースって
案外多いと思います。
お気をつけください。
それでは、今日はこの辺で。