犬さんの避妊手術を実施する時期はいつ?
結構前になりますが
同じ話題を数年前にブログに書いた気もしますが
結局その後どうなんだろう?ということも気になるので
今日のブログのテーマにしてみます。
2020年にこちらの論文が発表されました↓

35種類の犬種さんそれぞれについて
去勢・避妊手術をすると、してない子たちに比べて
どのくらい関節疾患だったり、悪性腫瘍だったりの発生率が高いのかを調べたものになっています。
手術を実施する年齢によって、疾患の発生率は変わると考えられており
この報告の中では
6ヶ月未満、6-11ヶ月、1歳以上、2歳以上の年齢別に分けて調査されています。
世界を見てみると、去勢・避妊手術を実施するか否かに関しては
国ごとに大きな差はありますが
日本国内でも、これだけ毎日のように行われている手術ではありますので
去勢手術をしない・避妊手術をしないことによって齎されるリスクというものも
当然存在します。
有名なものですと、女の子の乳腺腫瘍であったり子宮蓄膿症だったりは
避妊手術をしないことによって齎される、命にも関わる代表的なリスクになると思います。
この報告ではそういった、手術をしないデメリットと天秤にかけて
結局、手術をする方が良いのか、やるならどの時期が一番病気になりにくいのか
という点について
犬種別にまとめられています。
こんな感じですね↓

(上記の論文より抜粋)
昔からの考え方ですと
犬さんは生後6ヶ月でみんな去勢・避妊手術を実施しましょう、的な感じで
どの犬種の子も大体一律で手術されていたように思います。
なので
これが発表された時
個人的には結構衝撃的でありまして
中でも、ドーベルマンの男の子とゴールデンレトリーバーの女の子は
手術をしない方が良いと結論づけられていたりもするわけで
これから去勢・避妊手術に対する考え方も変わってくるのかなあ、と思っていました。
実際、うちの病院では
特に中型・大型犬以上の子のご家族様が
去勢手術や避妊手術をご希望された場合は
一応、上記の表と照らし合わせて
該当する犬種の場合は、そのガイドラインのお話をさせていただき
該当しない犬種であったり、MIXの子であっても
早過ぎる不妊手術が将来の疾患発生のリスクになる可能性をお伝えした上で
時期を相談するようにしております。
あくまで一つの報告ではありますし
この報告に従うのが全てではないとは思うのですが
僕の印象では
まだあんまり一般的には浸透していないのかなあ、といった印象です。
こういう風に
常識が置き換わるまでってどのくらいの年月がかかるもんなんですかね。
個人的な意見としましては
若くして骨肉腫だったりリンパ腫だったりに罹患してしまう
ゴールデンレトリーバーの子をちょくちょく見かけますので
そういった子たちが悪性腫瘍に罹患する可能性を減らせるんだったら
去勢避妊手術の実施時期を再考してみても良いのかなあ、って思っています。
これからわんちゃんの去勢・避妊手術をご検討される方は
実施の時期について少し考えてみていただいても良いかもしれないです。
おしまい。