蛋白漏出性腎症
最近、タンパク尿を呈する子を診察する機会が重なる気がします。
先日いらしたヨーキーの子は
10日前から水を飲む量が増えたということで来院されました。
初診時に尿も持ってきてくださっていたので
そのまま尿検査を実施。
その際、尿蛋白がものすごい出ていることが尿試験紙で判明。
尿比重も1.0180。
そのまま機械でUPCも測定してみました。
結果は、尿蛋白が機械での検出限界を超える高値(400mg/dl以上)。
UPCは9.37と算出されましたが、実際はもっと高いのだと思います。
全身状態に問題がなく
数日前に元々の病院さんでされていた血液検査が問題なかったので
そのまま蛋白尿の治療をまずは投薬治療にて始めて見ることにしました。
テルミサルタンを0.7mg/kg SIDでスタートです。
1週間後の尿検査。
尿蛋白が400 over → 169mg/dlまで低下。
UPCも9.37 → 4.50まで下がりました。
でも、まだめちゃくちゃ高いです(一応、基準値は0.4以下)。
全身状態の悪化はなく、テルミサルタンの効果もそれなりにありそうなので
同用量で継続治療とし
もし、尿蛋白の数値の下りが悪ければ、食事療法の併用も考慮という形にしました。
で、そこからまた2週間後。
尿比重は1.0207と少し上昇しているか?という感じ。
ただ、尿蛋白は167mg/dlと変わらず。
尿中クレアチニンが31mg/dlと低下したため
UPCは5.32に上昇。
同時に血液検査を実施しておりますが
BUNとクレアチニンが少し上昇しているので
テルミサルタンにより軽度に腎機能が落ちたのでは?と推察。
血中のクレアチニンが上がって、尿中のクレアチニンが下がっているから
そういうことなのかなと解釈しました。
ということでテルミサルタンを減量し、腎臓病療法食のサンプルを提示
食事療法も併用したいという話になりました。
そっからまた1ヶ月後。
尿比重が1.0241でまた少し上昇。
尿蛋白が112mg/dl。
尿中クレアチニンが50mg/dlということで
UPCは2.22まで低下。
なんとなく良さそう。
ただ、腎臓病療法食は少ししか食べてくれないということ。
それでも、尿蛋白は減っているし
尿比重は上がっているので、経過良好とし
同じ治療を継続でいくことに。
そこからまた1ヶ月後。
尿比重が1.0332まで上昇。
尿蛋白は124で変わらずかちょっと増えてる?
尿中クレアチニン排泄が増えているため、UPCは2.23で変わらず。
去年のIRISのガイドラインの改訂により
犬さんの蛋白漏出性腎症の際の蛋白尿はなかなか下がらないので
治療目標を正常値ではなく、最初の数値の半分以下に設定すること、という話になっています。
そこから考えれば、治療自体は上手くいっていそうなので
これを継続とすることにしました。
尿中タンパクと尿中クレアチニン、UPCの推移はこんな感じです↓

尿量も最初の頃よりは減っているそうですし
尿比重が上がっているので、上手くいっているのかなと判断しておりますが
尿蛋白が減ると、尿量は減るもの??というのいうが
僕の最近の疑問です。
誰か教えてください。
通常、尿蛋白がこれだけ出ているということは
糸球体に何かしらの病変があるのか、あったのか
腎臓病と判断して良いのだとは思うのですが
腎臓病による腎機能で尿比重が下がっているのか
タンパク尿によって尿比重が下がっているのかが判断がつかないな、と考えておりまして
尿蛋白が減って比重が上がったり尿量が減少しているのであれば
多尿は蛋白尿に起因するものだったと考えて良いのか???
最近、同じような症例が重なっているせいもあって
その疑問にぶち当たることが多いのですが
蛋白尿は減少し、尿比重が上昇、尿量は減少しているので
治療は奏功していると判断しています。
間違ってたらご指摘いただければ。。。
誰に向けて書いとるんやって話ですが
もう少し症例数が増えれていけば、何か見えてくるものがあるんですかね。
別に誰だって取ろうと思えば取れるものなので
そんなに誇るものでもなんでもないんですが
一応、僕は腎泌尿器の認定医を取得しておりまして
腎臓病の内科に関しては好きな分野で
それなりに力を入れてやっているつもりではありますので
良かったらご相談ください。
慢性腎臓病に代表される腎臓病の治療って
どこの動物病院でも同じでしょ?的な感じで
獣医側も患者さん側も考えがちではありますが
意外に差が出る部分もあるんじゃないかと思います。
期待に胸を膨らませて来院したは良いものの
がっかりした結果になってしまうかもしれませんが
よかったら一度ご相談ください。
オンライン相談でも慢性腎臓病についてのご相談を頂くことも増えてます。
費用は相場?の5倍ぐらいの値段をいただいて受け付けておりますが
リピーターの方もいらっしゃったり
それなりに満足度は高いのかなと思っています。
ご興味ある方は、宜しければこちらから↓
https://mirpet.co.jp/app/owner/clinic/detail/272
それでは今日はこの辺で失礼いたします。
望月先生
ブログ拝見しました。
ありがとうございます。
絶対に忘れることのない最愛の仔です。
先生に、幸せな仔だったと言っていただい心から嬉しく思っています。
彼は8年前僧帽弁閉鎖不全の外科手術をうけました。心臓は最期まで問題ありませんでした。2年半前移行上皮癌を発症しました。
某大学病院で月に一度免疫療法(モガムリズマブ)をうけていました。
さらに慢性腎臓病で自宅にて皮下点滴、
芽胞菌による下痢、これにフラジールを服用、当初2週間の予定でしたがフラジールをやめると下痢が再発を繰り返すため飲み続けることになりました。
その後てんかんの発作を頻発、ゾニサミドを服用していました。
つらつらと書いてしまいました。
最期は肺炎でした。癌の転移はありませんでした。
何が良くて、何が悪かったのか今となっては分かりません。
ただ精一杯生きてくれたのだと思っています。私はただただ彼の幸せを願って、楽でいて欲しくて必死でした。
3週間に一度東洋医学も受診していました!大学の担当医は懐疑的でしたが…
統合医療、素晴らしいと思います。