慢性腎臓病の猫さんの尿中アンモニア排泄濃度
つい最近の報告です。
はじめに書いておきますが
今回のお話は僕がこれを読んで感じた感想なので
解釈が間違っている部分もあるとは思います。
その点はご注意ください。

健康な猫さんと慢性腎臓病の猫さんにおいて
尿中のアンモニア排泄量と腎機能に相関性があるのかを調べましたよ、という報告。
一瞬そりゃ、相関するでしょ、とも思ったわけですが
腎機能の低下によってBUNが上がるのは
尿素の排泄が落ちるからなわけであって
アンモニアの排泄とはまた違うんですよね。
ただ、結果としては
尿中アンモニア・クレアチニン比の数値は
血中のクレアチニン濃度との逆相関を示したそうなので
やはり、腎機能が低下すると尿中のアンモニア排泄は低下するみたいです。
実際はこんな感じ↓(論文より抜粋)

統計的な解析を加えると
きちんと有意差は出ているみたいなので
腎機能の低下とともに尿中アンモニア排泄が落ちる傾向はあるんだと思います。
ただ、同じステージ3とか4のCKDの猫さんでも
排泄がそこまで落ちていなさそうな子もいたり
健常な猫さん達の数値とオーバーラップしている集団も意外にいたりして
単純に腎機能の低下が進むにつれて、落ちてくるというわけでもなさそうな印象が。
この尿中アンモニア排泄の低下自体は
代謝性アシドーシスの悪化の原因にもなるそうで
代謝性アシドーシス自体は
慢性腎臓病の進行要因の一つにもなるので
その点を踏まえると
尿中アンモニア排泄の低下自体は、慢性腎臓病の負の因子の一つになったりするのかなあ
とか考えてみたり。
同じ慢性腎臓病の猫さんで
血液検査的な分類で同じステージにいる子同士でも
それぞれ進行スピードが違うかったりするわけですが
一般的にガイドラインでのステージ分類に使用されるような
クレアチニンとかSDMAとか尿蛋白とか血圧とかでは
測れない部分での差が
その子の予後に影響しているのだとしたら
FGF23みたいに
尿中アンモニア・クレアチニン比の値の減少が
慢性腎臓病の負の予後因子だったりするんでしょうかね。
それは飛躍しすぎなんでしょうか。
今後の報告に期待したいところです。
それでは。