急性腎障害?の猫さん
今日は休み明けのせいか混雑しました。
待ち時間が長くなってしまい申し訳ありません。
1日のトータルの件数が67件。
もしかしたら最多か、最多タイぐらいかもしれません。
皆様、お昼休憩取れなくてすみません。
お疲れ様でした。
そんな中、5月の2週目ぐらいから診察をさせてもらっている猫さんのお話でも。
まずは当院にいらっしゃった経緯から。
4月10日に下痢、嘔吐、食欲不振のため前の動物病院さんを受診。
血液検査をしたけど、特に何もないので、対症療法としてお薬を処方。
こんときは良くなったそう。
ちなみに参考までに血液検査の数値は
BUN27mg/dl、Creが1.5mg/dlとかで問題なさそう(他の数値も特にはという感じ)。
5月9日、また同じような症状が再燃し
血液検査、レントゲン、エコーを実施したそう。
血液検査では、BUNが80ぐらい、Creが2.4と前回よりも大幅に上昇。
エコーでは、腹水の貯留を認め、消化管の状態がおかしいと指摘されたとのこと。
ただ、これ以上のプランのお話は何もなかったそうです。
で、二日後の5月11日。
食欲もないし、下痢も止まらないとのことで当院を受診。
エコーを当てさせてもらいました。
確かにすごい量の腹水が貯留し
結腸が全体的に腫れており、消化管がおかしいのかなと僕も思いました。
(今思えばこの時点では誤診だったと思います。)
で、消化管の構造がおかしい部分があったので、細胞診をしましょうと提案し
翌日、鎮静をかけて実施することにしました。
で、この時、僕はなんとなく皮膚のハリがあり過ぎるような気がしたので
食欲もなく水も飲めていない状態だったので
皮下点滴を実施し、実施後の体重を記録しておくことにしました。
それが6.1kg。
翌5月12日。
細胞診の検査予定で来院。
体重を測ってみます。
6.1kg。
ん?となります。
尿が作れてない?水分が処理できていない?
問診では、尿は出ているとのことでしたが
気になったので、血液検査を先に実施。
BUNが140over、クレアチニン2.96mg/dl、Kは5.8mEq/lというような状態でした。
体温も36.3°C しかなく、かなり危ない状態。
僕の頭の中では、急性腎障害??となり
とりあえず、鎮静かけるの怖いなってなり、腹水を少し抜いて
腹水の検査だけさせてもらい
利尿をかけることにしました。
腎臓が悪い猫さんへの利尿薬の投与自体には賛否両論あるとは思いますが
明らかに皮下点滴で入れた水分を処理できていないような状態だったので
この日は、利尿剤を2種類注射で投与して、内服薬も飲んでもらっています。
で、翌日までに尿が増えるか見てもらうことにしました。
結果、次の日の体重が5.9kg。
体温は37.6℃まで上昇。
下痢、嘔吐も止まったような状態でした。
なんとなく良さそうだったので、そのまま利尿剤の使用を継続。
その四日後、少しずつ食欲も増えてきてくれ
活動性も上昇し、尿もしっかりと出るようになってくれたとのことでした。
で、その子の血液検査を今日実施したわけです。
結果、BUNが40.5mg/dl、Creが1.96mg/dl。
数値的にはすごく改善してくれていました。
食欲も戻ってきており、腹水も全くないような状態。
もちろん脱水もありません。
結局なんだったんだろう、と考えているんですけど
急性腎障害→水分の処理ができない→それでも他院さんで皮下点滴を継続されていた
→腹水が貯留、消化管も浮腫む→消化器症状??→食欲も低下、下痢、嘔吐
的な流れだったんでしょうか。
他院さんでされていた治療の詳細がわからないので
解釈が間違っている部分があるかもしれませんが
今現在、消化管構造とかも正常に戻っているので
消化器疾患が原発ではないような気がしています。
やっぱり急性腎障害が何かしらの原因で起こったのが発端なのかな、と。
今回は主訴が下痢だったので
消化器疾患に頭が引っ張られていましたが
身体検査で身体の浮腫があるかも?ってことで
連日の体重のモニタリングを実施してました。
身体検査ってやっぱり大事だな、と思うのと同時に
先入観ってやっぱり良くないなって思った出来事でした。
点滴とか利尿とか、水分の調整はほんと難しいな、といつも思います。
上手くいくことばかりではないですが
常々、色々と思考を巡らせることが本当に大事ですね。はい。
そんなわけで
今日は下痢を主訴に来院された急性腎障害かも?の猫さんのお話でした。
それでは。