胃酸の抑制は腸内環境にも影響する
制酸薬について書くって言ってたんで
少し違った角度から。
胃という臓器は何のためにあると思いますか?
と問われたら
食べ物を消化するためでしょ、ってなるかもしれません。
確かに胃酸とかペプシンとかは
食べ物の消化にとても重要であり
胃はそれらを分泌する消化管でもあります。
ただ、胃の働きって他にもたくさんありまして
簡単に挙げるとこんな感じです↓
・食物の貯留、攪拌、粉砕、十二指腸への移送
・胃液の分泌
・pHの低下による殺菌
・胃酸による鉄やCaの溶解度を高める
・ビタミンB12の分離
などなど
この中でも胃酸によってpHを酸性にすることは
外敵から身体を守るという役割もあるわけですね。
また、胃酸できちんと殺菌されることによって
その後ろにある腸内環境が保たれているという側面もあったりします。
2022年に
日本人の腸内細菌を調べ上げて
何が腸内細菌に影響を及ぼすのか?を調べた報告があります↓

食事とか、疾患とか、生活習慣とか
腸内細菌叢に影響を与える要因は多岐にわたるわけですが
その中で、最も影響が強いのが『薬剤』でありまして
その次が『疾患』という結果でした。
この『薬剤』の中で腸内細菌叢に影響を与えそうなものと言えば
皆さん、抗菌薬を想像されるんじゃないかな、と思います。
僕もそう思ってました。
抗菌薬の使用って腸内細菌をぶっ壊すイメージじゃないですか。
ただ、この報告の中では
抗菌薬ももちろん腸内細菌叢への影響はあるみたいなんですけど
それよりも制酸薬などの消化器薬の方が
影響が強かったみたいんですね。
結構意外じゃないですか?
それぐらい胃酸というものは
外敵から身を守るために重要なんだと思いますし
腸内細菌叢の維持のためにも一役買ってくれているんだと思います。
こういう話を聞くと
無闇矢鱈にファモチジンとかオメプラゾールとかを使いまくるのも問題なのかもしれません。
特にファモチジンは長期の使用によって
効果が減弱してしまうことがわかっておりますし
制酸薬に限った話ではないですが
『その飲み続けているお薬、本当に必要ですか?』という目線は
常に持ち続けておいた方が良いのかもしれません。
それでは、今日はこの辺で。