検査結果を読むこと
さっき血尿を主訴に犬さんのご家族が当院を初めて訪れました。
その際、先日の他の動物病院さんの健康診断の結果を持ってきてくださいました。

それがこちら⇧
毎年、春にフィラリア検査と一緒に検査しているみたいです。
この結果で
甲状腺ホルモンの数値が低いから甲状腺ホルモン製剤を処方されているという
典型的な悪しき風習みたいな感じでした。
そんなことよりも
BUNもクレアチニンの数値もリンの数値も年々上昇している状態なのが
画像からわかると思いますが
この子はおそらく慢性腎臓病の可能性が非常に高いと思います。
血液検査の結果はそこを示唆してくれてはいるものの
獣医師がその後の方針をきちんと示してくれなければ
検査は何の意味もありません。
むしろ、患者さんの中には
『きちんと検査してもらっているから大丈夫』という
根拠のない安心感すら生まれてしまって
結果的に、治療介入が遅くなるんじゃないかなと思います。
この子は、この血液検査を受けて
もうすでに2ヶ月の時間が経過しようとしておりますが
ただただ甲状腺ホルモンを処方されているだけだったので
慢性腎臓病に対しては何もアプローチされていない状態でした。
きっとこのままの状態だったら
もっと腎機能が低下して、全身状態が悪くなった状態で病院を訪れるか
もしくは来年も同じように健康診断と銘打たれた血液検査を実施して
数値の悪化が見つかるか
どっちかだったのかなと思います。
検査って
その結果によって
その後の方針が決まったり
何かしらの動きをするためにやるんじゃないかな、僕はって思うんです。
もちろん、何の異常もないのがわかることも大事だとは思いますし
その場合は、来年もまたやりましょうね、で良いと思うんですけど。
検査結果が異常を示していても
それがわからないんなら、検査なんてやらない方が良いんじゃないかなとか思ったり。
異常を異常と説明してくれない
健康診断って何なんでしょうね。
昨日も、また別の動物病院さんからですが
2週間前ぐらいに血液検査をされているのに
そこで出ている異常に対して特に診断とかつけず
これといった治療的な介入もせず
いよいよ状態が悪くなってきたよ、という感じになって来ていた初診の方を
もっちーが診察していました。
その方は、毎月動物病院に通っていたそうで
毎月エコー検査をしてもらっていたそうです。
でも、昨日僕がその子のエコーを当てた時には
両方の腎臓とも石灰化なのか結石なのかで
腎臓の構造自体が半分以上、破綻しているような状態で
血液検査上も、2週間前より大幅に腎数値が上昇しておりました。
2週間前の検査結果で予兆があったはずなのに
何もしないとこうなるんだなあ、と。
中途半端に検査をすると
患者さんが違う動物病院に行くきっかけを奪うことになると思うんです。
ちゃんとやらないなら、そもそも検査なんてしない方が世の中のためなんじゃないかな、とか
そういう動物病院がない方が患者さん的には病院選択の選択肢が狭まって良いんじゃないかなと
僕は思うんですけどね。
まあ、でも検査を無駄にやり続けた方がやった感が出る上に売り上げも上がりますし
甲状腺ホルモン製剤を無駄に処方した方が
治療してあげた感が出て売り上げが上がります。
そういうところは潰れていかないわけなんですね。難しいです。
無意味な検査・治療かどうかの判断を客観的に判断してくれる指標がないのが問題ですね。
ちょっと今日は言い過ぎてますかね。
そろそろ自重しないと怒られそうなので、やめておこうと思います。
もう遅いかもしれませんが
やっぱ見ていて可哀想だなあって思うんで書いちゃいました。すみません。
だって、ちゃんと動物病院には行っているのに
むしろ悪くさせられてた、とか可哀想じゃないですか。
お金払って病気を作って、動物の命の時間を削ってって
流石に可哀想に思えてきます。
そんな自分達も
同じようなことをしてしまう動物病院になってしまうかもしれないので
そういうことがあるんだよ、ということを肝に銘じて
明日もまた診察に励みます。
それでは。