副腎偶発腫について書いていく
昨日までみたいなエンタメ感のある
ブログネタばかり書いていても
うちの患者さんにとっては
それはそれで良いのかもしれないんですけど
一応、4割ぐらいは初めての方にご覧いただいているブログでもあるので
ここから数日はできるだけ学術よりでいきたいと思います。
テーマは副腎偶発腫について
今日から何回に分けて書いていこうと思います。
副腎偶発腫というのは
文字通り、たまたま副腎がでかいやん、みたいなのが見つかることを指します。
偶発的ということなので
そもそも副腎疾患を疑うような症状がある場合は、これに当てはまりません。
一般的にはあんまり聞き馴染みのない言葉かもしれませんが
健康診断だったり
他の疾患について検査をしている際に
偶然、大きな副腎と出会うことがあり
それを副腎偶発腫と呼ぶわけですね。
過去の報告では
腹部超音波検査を実施した犬さんの4%(3748例中151例)
腹部CT検査を実施した犬さんの9%(270例中25例)で副腎偶発腫が認められたとされており
皆様、すでにご存知の方も多い
犬さんのクッシング症候群の罹患率が0.2%とされているので
副腎偶発腫というものがいかに高頻度で出会うものかがわかるかもしれません。
犬種さんによって副腎の大きさにはばらつきがありますが
おおよそ3〜4mmぐらいが副腎の正常の幅とされておりまして
ここでいう副腎偶発腫というものは
犬さんの場合、超音波検査にて明らかな結節を認める場合か
もしくは10mm以上の厚さがある場合を指します。
じゃあ実際に、大きな副腎に出会った時に何が考えられるでしょうか。
副腎というものは、そもそもステロイドホルモンだったりカテコラミンだったりを
産生・分泌する臓器であり、その機能は多岐にわたります。
つまり、副腎が大きくなるということは
それらのホルモン関連の疾患も色々と考えないといけませんので
鑑別にはさまざまな疾患が登場します。
全部書くとややこしくなるので
ここでは大きく四つに分類したいと思います。
副腎偶発腫として発見される可能性のある副腎病変の分類としては以下の四つです。
①副腎皮質腫瘍
良性腫瘍or悪性腫瘍、機能性or非機能性のいずれもありまして
機能性はさらに、どのホルモンを分泌するかで病態が異なります。
②副腎髄質腫瘍
いわゆる褐色細胞腫というもので、一般的には悪性腫瘍と認識されています。
③その他の腫瘍
ここには脂肪腫や骨髄脂肪腫などの良性腫瘍から、リンパ腫や線維肉腫、血管肉腫など悪性腫瘍まで
色々と含まれます。
④非腫瘍性病変
下垂体性クッシング症候群による副腎の腫大などが代表例でしょうか。
あとは、老齢性による結節性過形成や嚢胞、血腫、肉芽腫などが含まれるとされています。
4月に入り、健康診断も毎日のように
色々な動物病院さんで実施されているシーズンかと思いますが
その中で、副腎が大きいかも??となった場合は
上記のような鑑別疾患が挙げられます。
少し長くなってきましたので、今日はこの辺にしておきますが
明日は、じゃあ実際にどうやってこの先の検査を進めようか、って感じで書いていきます。
あとは、猫さんの副腎腫大についても触れないとですよね。
そこは少しずつ書いていこうかと。
とりあえず、今日はこの辺で。
それでは。