猫さんの口腔内扁平上皮癌 ①概要
猫さんの口腔内扁平上皮癌は
中高齢の猫さんに発生する悪性腫瘍で
発生年齢の中央値は10歳前後とされています。
発生の危険因子として考えられているものに
受動喫煙があり
これはわんちゃんの鼻腔内腫瘍なんかと同じですね。
タバコの煙はやっぱり怖いです。はい。
タバコの煙以外にも
缶詰食が良くないとか、ノミ取りの首輪みたいなやつがよくないとか
そういう報告もあるみたいですが
これらは製品によって成分も異なるため
一概には言えないみたいです。
扁平上皮癌が発生した時に認められる症状としては
口臭、よだれ、顔を気にする、口や鼻からの出血、食欲不振などが挙げられますが
なかなか口の中の隅々まで見せてくれない猫さんもいたりして
発見が遅くなるケースにもしばしば遭遇します。
猫さんの口腔内扁平上皮癌の特徴としては
局所浸潤性が非常に強いという点です。
遠隔転移をあまり起こさないので
肺に転移して呼吸が苦しくて・・・とかになるというよりは
口の中の腫瘍が大きくなってきたり、痛くて食べられなくて・・・という感じで
結局は摂食障害が死因となる場合が多いです。
つまりは、食道瘻チューブや胃瘻チューブを設置したりして
栄養状態・水和状態を管理することができれば
腫瘍が大きくなってきた状態でも
ある程度の生存期間の延長は可能ということになります。
ただ、腫瘍からの臭いや出血、感染、局所浸潤による痛みも増してくるため
猫さん自身は元気がなくなることも少なくなく
QOLを保つのは非常に難しくなってくることも珍しくありません。
北米では
口腔内扁平上皮癌の猫さんの死因は
道徳的安楽死が自然死より圧倒的に多いそうで
そのくらい
QOLを改善・維持していくことが難しいタイプの腫瘍なんだと思います。
そんな口腔内扁平上皮癌の治療の選択肢について
次回は書いていきたいと思います。
それでは。