詐欺師の思考
相手を騙して
何か商品を売りつける場合
詐欺師にとって大事なことは
その商品が本当に相手にとって有用なものだと
信じ込むことだと思うんです。
自分が心から信じて
相手を説得するからこそ
相手のことを信用させたり、騙せたりするのではないかと
そう思うんですね。
静岡市内の色々な動物病院の診療の仕方・薬の処方について触れる場面は
毎日のようにあるわけですけれども
同じように小動物臨床に身を置く僕から見ても
いやあ、明らかに詐欺でしょ!的なことも少なくないわけなんですが
ものすごく厄介だなと思うのは
その詐欺的診療行為は
患者さんを騙そうとして行われているわけではなく
本気で治療しようと思って実施されている、ということではないかと。
金儲けのために
病気じゃないのに薬出しまくったるわあ、みたいな
そういうスタンスだと
きっと患者さん達にも愛想を尽かされて勝手に潰れていくんじゃないかと思うんですが
本当にこの検査は必要なんで、やらせてください!的な感じで頼まれると
患者さんとしては
先生がそう言うんだったらお願いしようかしら、ってなると思うんですね。
そうやって患者さんは普通に騙されてしまいますし
騙されていることにすら気付かぬまま
何かの際にたまたま今の動物医療のスタンダードに触れたりした時なんかに
ふと気づくわけなんです。
あれ、なんか違うくない?と。
そう考えると
やっぱり情報のアップデートというものは
医療従事者にとっては必要不可欠なものでありまして
そこを怠ることが
結果的に患者さんを騙すことにもつながりかねないな、と思うんです。
僕らが今必要と考えて実施している検査や治療も
5年後、10年後にはもしかしたら必要ないものとされていたり
もしかしたら逆効果のものだって存在するかもしれないなと。
僕だって卒業後1年目とか2年目の時は
去勢手術の後とか、避妊手術の後とか
急性下痢とか、猫さんの膀胱炎症状に対して抗菌薬を処方してましたし
わんちゃんの膿皮症に対しても
第一選択で普通にセファゾリンを出してました。
今は否定されてると思いますし
そんなことをやらなくなりましたが
当時はそれが当たり前で常識的な感じだったんです。
今現在、自分たちがやっていることも
後になってみれば、実は詐欺的なものだったりするのかもしれないわけです。
怖いですよね。
だからやっぱり学会に参加したり
学術雑誌や書籍を定期的に購入したり
セミナーや勉強会に参加したり
そういう日々の活動が大事なんだなあ、と
内科学アカデミーの動画を見ていて改めて思いました。
というお話でした。
はい。
詐欺師にはなりたくないので、勉強したいと思います。
それでは。