血圧について②
前回の血圧の話から
少し間があいておりますが
今日は少し時間があるので続きでも。
血圧測定と聞くと
皆様、人間の病院で受付された後に測定するやつを想像されると思いますが
犬猫さんにおいても基本的にはそんな感じです。
今日は血圧の種類についても書いてみましょうか。
血圧いくつですか?と聞かれると
『上が○○で、下が・・・』的な会話がなされることがあると思います。
そのいわゆる『上の血圧』というものが収縮期血圧と呼ばれ
心臓の収縮によって拍出された血液が
動脈の血管の壁に与える最大の圧力のことを指し
動物医療における高血圧の診断は
この収縮期血圧を基準とすることが多いです。
一般的には収縮期血圧は80〜140mmHgぐらいを正常とすることが多く
この前の記事でも出てきましたACVIMのコンセンサス・ステートメントの中では
140~159mmHgを前高血圧(標的障害リスクは低い)
160~179mmHgを高血圧(標的臓器障害リスクは中程度)
180mmHg以上を重度高血圧(標的臓器障害リスクは高い)と規定されています。
じゃあ、『下の血圧』は何?ってなりますよね。
ならないですか。そうですか。すみません。
上が収縮期血圧と表現するのに対し、下の血圧は拡張期血圧と呼びます。
この拡張期血圧が話題に上ることはあまりありませんが
心臓に血液が溜まっていく拡張期になった際に
大動脈に溜まっていた血液が大動脈の収縮によってゆっくりと全身に拍出される時に
血管の壁にかかる圧力のこととされています。
拡張期血圧は、心臓の冠血流の指標とされていたりするので
重要な値ではあるのですが
コントロールすること自体は難しかったりするので
普段の診察の中や治療の基準とかで登場する機会はあんまりないものと思います。
あとは、平均血圧(真ん中の血圧)ですね。
人間の病院に行って、平均血圧について説明を受ける場面って
あんまりないとは思いますが
人間の医療分野と同様に
動物医療においても
麻酔中だったり、救急・ICU管理の際だったりはすごく大事な数値の一つです。
平均血圧は単純に上の血圧と下の血圧の平均というわけではなく
平均血圧=(収縮期血圧ー拡張期血圧)÷3+拡張期血圧
という式で算出される値です。
常に動脈にかかっている圧力のことを指す言葉だそうで
血管の弾力性や毛細血管の状態を反映する指標とされていますが
各種臓器への血流量の指標にもなりますので
重症な子にとってはすごく重要な数値ですね。
こんな感じで
今日は血圧の種類について書いてみました。
収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧と三種類ありますが
それぞれ意味するところが違い
利用される場面もやや異なります。
これを知ってたから何になるの?と問われれば
あんまり皆様には関係かもしれませんが
血圧は心臓だったり腎臓だったり
色々な疾患と密接に関わるものの一つです。
知っておいていただくことで
何かのお役に立てればと思い書いてみました。
次回このシリーズは
高血圧の診断の流れ的なことでも書こうかと思います。
それでは。