血圧について①
学術的なことにもご興味のある方が一定数いらっしゃるとのことなので
今回からは『血圧』をテーマに何回かに分けて
書いていこうかと思います。
動物医療における血圧測定については
2018年アメリカ獣医内科学会(ACVIM)よりガイドラインが発表されています。

詳しくはここを読んでね、だと
あまりにも不親切なので
患者様の立場でも知っておいても良いんじゃないかなってことを
僕なりに書いていこうかと思います。
救急の時や麻酔中などを除いて
あまり低血圧がご家族にとって身近な場面というものはないと思うので
主に高血圧について。
人間の方でも高血圧が問題となる疾患って色々あると思いますし
実際に血圧のお薬を飲んでいらっしゃる方も多いのではないかと思います。
血圧は、高過ぎると臓器を損傷する可能性があり
その代表的な標的臓器としては
脳、腎臓、心血管系、眼が挙げられます。
人間とは異なり
犬猫さんでは
特定の原因がなく高血圧となる本態性高血圧の発生は少ないとされておりまして
何かしらの大元の疾患があって
その結果として二次的に高血圧になる二次性高血圧が80%以上を占めるとされています。
その基礎疾患
犬さんでは慢性腎臓病、クッシング症候群、褐色細胞腫が多く
猫さんでは慢性腎臓病、甲状腺機能亢進症がその代表でしょうか。
猫さんの原発性アルドステロン症なんかも高血圧になりますが
腎臓病は甲状腺機能亢進症に比べると、数はかなり少ないと思います。
疾患以外に血圧を上げる因子としては
年齢や犬種差とか体格なんかもあるそうで
犬さんでは加齢によって1-3mmHg/年ほど上昇するとされていたり
肥満も影響するんじゃないかという報告もあります。
人でよく言われるような
塩分の取りすぎによる高血圧っていうのは
犬猫さんの場合は起こりにくいものとされています。
あと、血圧に影響があるものとしては
薬剤ですかね。
血圧上昇を引き起こす可能性のある薬剤として報告されているものとしては
一般的に使用されるステロイド剤であるグルココルチコイドだったり
腎性貧血の際に用いられることの多いダルベポエチンであったり
エリスロポエチンなんかが代表的です。
逆に血圧を下げる可能性のある薬剤としては
ACE阻害薬であったり、ARBであったり、ピモベンダンであったり
循環器疾患や一部の腎臓病に使われる薬剤が多いですね。
血圧は高過ぎても問題ですが
低過ぎるのももちろん良くないので
そこらへんの薬剤は注意が必要ですね。
今日のところはここら辺にしておきましょうか。
あんまり情報を詰め込んでも疲れちゃいますので
少しずつ書いていこうと思います。
それでは。