白色に見える眼科疾患② 角膜ジストロフィー
引き続き
眼が白く見える疾患について書いていこうかと。
今回は『角膜ジストロフィー』について。
角膜ジストロフィーは
目の一番外側の角膜のところに
点々と結晶状に混濁が認められる疾患で
比較的遭遇機会は多いです。
基本的には
遺伝性で、両目にできる非炎症性の疾患で
若齢の時に発症し、進行はゆっくりか、もしくは進行しないため
視覚障害が起こることは少ないとされています。
犬さんでは好発犬種というものがある程度わかっておりまして
ビーグルさん、シェルティーさん、ハスキーさん、キャバリアさん、エアデールテリアさん
などに発生を認めることが多いらしいです。
他の犬種さんや猫さんでも発生があるとはされているみたいですが
それらは比較的稀なようで、好発犬種以外での発生を認める場合は
他の疾患じゃないかどうかをきちんと鑑別しないといけません。
好発犬種の中でも
犬種ごとに特徴があることも多いらしく
診断に必須ではないですが、ヒントにはなってくれるみたい。
例えば
ビーグルさんなら水平な楕円形に混濁するのが特徴みたいで
場所も角膜中央からやや下側(腹側)1/3に位置することが多いとされています。
角膜ジストロフィーの見え方自体は結構バラエティに富むので
犬種ごとの差を知っておくのも大事ですね。
角膜ジストロフィーは
現在の獣医療では根本治療や進行を遅らせる実証のある治療法はないとされているため
基本的には定期的な観察を続ける形になるとされています。
ただ、2023年にこんな報告が出たそうで

「1%シクロスポリン点眼液による犬の結晶状角膜ジストロフィーの治療」
という感じのタイトルです。
この報告では
色々な犬種、年齢を含む92頭のわんこが対象となっており
コントロール群では角膜ジストロフィーが有意に増加したけど
シクロスポリンの点眼をやった方はジストロフィーが有意に減少したとされています。
また、点眼回数も1日1回よりも2回の方が減少する確率が三倍も高かったそうで
治療期間が長ければ長いほど、角膜ジストロフィーが減少する確率が増加したみたいです。
これだけ見るとシクロスポリンに何らかの効果がありそうな感じですよね。
ただ、シクロスポリンが角膜ジストロフィーを改善する
正確な機序は解明されていないということと
この報告ではビタミンE(点眼用αトコフェロール)にシクロスポリンを溶かしているとのことで
もしかしたらこの溶媒が効いている可能性もあるみたいです。
そんな感じで、まだ詳細はわからないのですが
今まで治療できないのが通説だった角膜ジストロフィーの
新しい治療方法になるかもしれないのは
眼科の先生たちにとっての興味深い内容だったみたいです。はい。
角膜ジストロフィーはこんな感じでしょうか。
こんな感じで遭遇頻度の高そうなものを
順番に書いていこうと思います。
それでは!