がん診療に取り組むための心得
という表題の雑誌の中の連載がありました。
そこに書かれている
がん診療に求められる基本的な姿勢として次のような項目が書かれてありました。
・動物の全身状態を把握しようとする姿勢
・最新情報を常にアップデートする姿勢
・治療選択肢を提案する姿勢
・諦めない姿勢
こんな感じです。
何となく
うちの動物病院の姿勢とも似ているのかもしれません。
また
がん診療においてやってはいけないこと、も書かれてありました。
それは
『年齢による決めつけをしないこと』と
『安易な様子見をしないこと』だそうです。
確かにそうかもしれません。
先日、乳腺腫瘍をずっと放置されていた子が当院を初めて受診されました。
過去に乳腺腫瘍の手術をしたそうですが
その病理検査の結果とかも不明で
新しくできてきた乳腺腫瘍に関しては様子見という形が取られておりました。
結果として、当院で手術をさせていただいたところ
悪性の乳腺がんであり
すでに腋窩のリンパ節にまで転移してしまっておりました。
安易な様子見はこんな感じの結果を生んでしまうんだと思います。
年齢による決めつけもそうだと思います。
この連載に書かれてあった例を取ると
16歳だからもう手術はいいでしょ、的な
そういった動物病院側の考えによって救われない命は多いみたいです。
なんかそういうの嫌ですよね。
みなとまちに来て5年。
上記のようながん診療に必要な心得と
当院のコンセプトっぽいものに似たものもあるせいか
悪性腫瘍・がんの診察をさせていただく機会は年々増えています。
腫瘍の症例が増えていくと
思った以上に抗がん剤が劇的に効いてくれたり
一般的に言われている中央生存期間を大きく上回ってくれるような
奇跡的な出来事を度々経験させてくれます。
最終結果だけ見れば
勝てないことが多いというのが事実だとは思います。
それでも
その勝てない戦いの中でも
腫瘍診療に必要な心得を持った上での戦い方を選択することで
見えてくる景色が変わることもたくさんあります。
腫瘍を専門的に診ているわけでも
認定医を持った獣医師がいるわけでもない当院ですが
化学療法(抗がん剤)を実施している件数だったら
それなりに多いんじゃないかって思いますし
僕自身、抗がん剤による治療がすごく好きなので
良かったらご相談ください。
それでは。