犬さんのがん検診・腫瘍マーカー
2025年からの新しい取り組みとしまして
犬さんのガンに対する血液検査であるNu.Q® Vet Cancer Testを実施していこうと思います。
この検査は今年の7月ぐらいにリリースされた比較的新しい検査でありまして
がんの早期発見に役立ってくれるツールみたいです。
一応、こちらのサイトに詳細が書いてありますので宜しければどうぞ↓
https://www.fujifilm.com/jp/ja/healthcare/veterinary/examination/cancer-test
ここでは簡単に概要だけ書いておきたいと思います。
今まで日本においては
きちんとしたエビデンスのある腫瘍マーカー・がんマーカーみたいな検査はありませんでした。
人間の医療だと
腫瘍マーカーの数値で癌が見つかったり
抗がん剤や外科手術の後に
腫瘍マーカーの数値でモニタリングしたりするイメージがあるじゃないですか?
今回の検査はそういう位置付けになるかもしれない検査かなと思います。
原理としては
がん細胞由来のヌクレオソームを特異的な抗体を用いて検出することで
血中ヌクレオソーム濃度を定量的に測定してくれます。
数値とともに、陽性・グレーゾーン・陰性みたいな感じで判定してくれるみたいです。
使い方は色々と応用できるのかもしれませんが
検査会社さん的には健康診断の中の一つの項目として重要です、みたいな立ち位置なので
検査対象となる動物は
健康の7歳以上のわんちゃんや
腫瘍になりやすいとされている若いわんちゃんになるみたいです。
ここに記載されている『特に気をつけるべき人気犬種』としては
ゴールデンレトリバー・フレンチブルドッグ・ビーグル
ラブラドールレトリーバー・バーニーズマウンテンドッグ・フラットコーテッドレトリーバー
ミニチュアシュナウザー・ウェルシュコーギー・シベリアンハスキー
が挙げられています。
こういった犬種さんは、7歳と言わず
もう少し前から検査してみるのもありなのだと思います。
やり方としては
採血で2mlの血液をいただくだけなので
健康診断の血液検査の際に一緒にやる、みたいな感じもありだと思いますし
画像検査などと組み合わせて実施するのもありだと思います。
注意点としては
4時間以上の絶食が必要なことと
血液を採取してから96時間以内に検査を開始しないといけないらしいので
当院の場合ですと
基本的には日曜日から木曜日の午前中に採血させていただく形になるかと思います。
この検査のエビデンスの元になっている論文の中では
健常なわんちゃんと悪性腫瘍を罹患したわんちゃん、合計で662頭の子が検査されており
主に以下の7種類の腫瘍が調査されています。
リンパ腫、肥満細胞腫、血管肉腫、悪性黒色腫、組織球性肉腫、軟部組織肉腫、骨肉腫。
これらの中で
特にリンパ腫(77%)、血管肉腫(82%)、組織球性肉腫(54%)の全身性の癌は
76%と、それなりに高い感度で検出されており
また、特異度が97%だったそうなので
『がんを持たない子を検査して、陰性と出る確率』が97%ということになるので
それなりに信頼できる検査かもしれません。
腫瘍を専門とされている獣医師の先生からも
この検査使えるかも!というお話を先日聞いたので
当院でも導入してみることにしました。
ご興味のある方は、ぜひお申し出ください。
一回の検査費用は12000円(税込)になる予定です。
よろしくお願いいたします。
それでは、今日はこの辺で失礼致します。