胃粘膜保護薬
個人的な今月・来月あたりテーマは
消化器疾患を学び直す、です。
何も決めないで、ダラダラと日々を過ごしていると
ただただ診察して
診察で出会う疾患のことしか学ぼうとはしないので
自分に何かを課した方がちゃんとやるかなということで
今月は消化器です。
今日は胃粘膜保護薬の講義を聴いていました。
主に胃酸分泌抑制剤の話ではあったのですが
何か数年前に聴いた別の大御所の先生の話とは
やや乖離するような。
何かの分野を専門的に診察されている獣医師の間でも
色々と意見の分かれるところというのはあるみたいです。
循環器とか皮膚とかもそうですもんね。
どの分野もそうなのかもしれません。
どの先生の意見を取り入れていくかの判断は難しいところですが
やはりそこはその分野の症例数が多い方が説得力がありそうな気もしますし
世代交代というものがあるんだな、と何となく感じています。
10年前ぐらいまでは誰もが知る先生で
学会とかでも大きい会場に人が入りきらないくらい人気だったのにな、とか
なんとなく悲しい気持ちにもなりますが
そこは第一線で論文とか書き続けている専門の先生の方へ
僕ら一次診療の人間の意見もシフトしないといけないのかもしれません。
ということで
胃酸分泌抑制剤。
適応は、胃潰瘍とか逆流性食道炎とかになります。
あとは、ステロイドやNSAIDsとか使用時の胃潰瘍予防でしょうか。
使用するなら
ファモチジン、オメプラゾール、ランソプラゾールの3択になるみたいです。
ファモチジンはいわゆるガスターという商品になりますが
僕、数年前に、ファモチジンは胃のpHをほとんど上げないんだよ、みたいな話を
何度か聴講する機会がありまして
そっから経口薬は使わなくなっておりました。
実際、使用しなくなって、すげー困ったなみたいなことはなかったので
そんなに気に留めていなかったことではあるのですが
今日の話を聴いて
急性期の胃・十二指腸症状に対して使用するのはアリなんかなと思いました。
ファモチジンは連続使用によって
徐々に効果が減弱していくことがわかっているそうで
以前のpHはあんまり上がんないんだよ、みたいなデータは
投与開始から4〜7日後の胃内のpHをみたデータだそうで
ファモチジンが少し効きにくくなってきていたタイミングでの測定だから
そういう結果になったんじゃないか、ということでした。
なので、胃酸の分泌を抑えて胃粘膜を保護したいなら
短期的な急性症状なら、ファモチジン。
中・長期的に使用したいけど中程度症状ならオメプラゾールを1日1回投与。
ガストリノーマみたいな、本気で胃潰瘍を抑えにいかないと
的なのはオメプラ1日2回というイメージです。
ただ、実際に胃潰瘍病変があるのかどうなのか
きちん判断するのはやや難しいので
使用のタイミングは要検討ではありますが
頻回に嘔吐の見られる症例に対しての逆流性食道炎予防であったり
犬さんの胃のリンパ腫なんかにステロイドを使用する際などは
胃酸を抑えて保護してあげることもアリなのかなあとか考えています。
一度、病院から完全に内服薬を置かなくなった薬を
また再度置いたら怒られそうですが
そこは、まあ意味あるならやった方が良いでしょ、ってことで
ちょっと考えて変えていこうと思います。
日々アップデートですね。
頑張ります。
いや、頑張るのは当たり前なのか。
頑張るとか言っている時点で前提が違うんよな。
宮崎駿さんを見習います。はい。
それでは。