犬のクッシング症候群の検査
朝のブログの回。
昨日の朝は結局あげられず。
早くも有言不実行でした。すみません。
というわけで、何度かこのブログでも取り上げております犬さんのクッシング症候群。
その検査について。
そもそも副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)は
体の中の副腎という臓器からステロイドホルモンが出過ぎてしまうことにより
さまざまな症状を示す症候群です。
ステロイドホルモンというものは
生体がストレスを感じた時に分泌されるホルモンなので
そもそも抗ストレスホルモンであるということを覚えておいてください。
クッシング症候群の診断には
複数の内分泌検査が用いられますが
それぞれの検査には欠点があり
全ての検査が併発疾患やストレスの影響によって偽陽性となる可能性があるとされています。
なので、何の検査が良いか?と、検査を選択するよりもまず
どの症例に検査をするか、という症例の選択の方が重要だとされています。
クッシング症候群は誤診の多い疾患でもありますからね。
ここは注意が必要です。
つまりは
臨床的にクッシング症候群の疑いが強い場合にのみ
内分泌検査を実施することが推奨されています。
ここでいう疑いが強いというのは
一般的にクッシング症候群に認められる症状である
多尿
多飲
腹囲膨満
多食
パンティング
皮膚症状
筋力低下
などのうち二つ以上認められる。
もしくは、一般的にクッシング症候群の際に認められる臨床検査初見である
ALPの上昇
高コレステロール血症
軽度の高血糖
低比重尿
タンパク尿
白血球のストレスパターン
血小板増多
赤血球増多
高血圧
のうち
二つ以上認められる場合を指します。
で、ここからは前も書いたように思いますが
以前は
クッシング症候群の疑いがあった時にやる検査として
ACTH刺激試験が一般的だったように思います。
当院でもいまだにそれなりの頻度でやる検査ではありますが
この検査でグレーゾーンだった場合に
低用量デキサメタゾン抑制試験(LDDST)を実施するというような順番でした。
ここが2023年のガイドラインでは
もっとも推奨する内分泌検査として
LDDSTということに変わったのでありました。
ただ、ACTH刺激試験も勧められないわけではなく
LDDSTと比較してストレスの影響だったり
他の疾患の影響だったりを受けにくい可能性もあるとされており
併発疾患などがある場合には、ACTH刺激試験を優先する場合もあると思われます。
なので、普通にクッシング症候群を疑う時の
最初の検査はLDDSTってことですね。
当院もそっちを優先してこれからはやっていこうかなと前にも書いたかもしれません。
あとは
これも以前に何度か登場した検査である
尿中コルチゾール・クレアチニン比(UCCR)という検査です。
これは自宅で尿を取ってきてもらい検査会社に外注するだけなので
ほとんど動物に負担のない検査なのでお手軽ですね。
この検査の特徴は、感度が高い点にあります。
つまりは偽陽性が多いこと。
クッシングじゃないのにクッシング症候群かも?と疑いをかけてしまうという点に
注意が必要ということですね。
裏を返せば
このUCCRが低い値を示す場合は、ほぼ全ての症例で
クッシング症候群を除外できるという検査なので
除外するための検査としては、結構有用だと僕は考えており
当院でも実施機会の多い検査ですね。
こんな感じで
犬さんのクッシング症候群の検査について書いてみました。
わんちゃんでは一番多い内分泌疾患とされているぐらい
発生頻度はそれなりに高い症候群でもありますので
よかったらこの機会に参考にしてみていただければと思います。
それでは、今日の学術系?ブログはおしまいです。
初めまして現在クッシングの治療をしている12歳のペキニーズです。調べているうちにこちらに辿り着きました。今の治療が合っているのか心配になりお聞きしたくメールしました。保護犬で元から趾間膿皮症でなかなか治らずどうしてなのか?病院を変えたり府大病院に診てもらったりしていました。酷くなった時シンプリセフ錠プレドニンを飲んで2015年10月〜2022年10月まで服用それと足先の薬浴で様子をみていた所にだんだん左右対称に毛が抜ける症状が出たりしたのでお薬による副作用なのかこのままお薬を飲み続けるのも不安で治らない膿皮症が他に原因がある事を知り内分泌系疾患からという事もあり血液検査での甲状腺低下症チラーチン100を2022年10月から飲みながら治療していたのですが11月尿路結石で手術、今現在も膀胱に少量の石があります。2023年4月〜コレステロール、肝臓の数値も高めお腹もぽっこり、毛の薄毛も目立つ為クッシングの治療を始めました。トリロスタン錠5㍉と低下症のチラーチンs錠100を服用し落ち着いた所に6月に膵炎になりました。
それから2024年2月からT4が高め4.27と出た為チラーチン半錠に減らしました。
5月にALT205 vALP418 と出たので
ウルソ錠を一週間飲んでから1ヶ月後に血液の再検査をし異常なく落ち着きました。そして
9月にクッシングの定期検査をしました。
T4 2.1
COR 前4.8 後8.5 で正常範囲内なのですが
最近息があらいのと食べ物の催促が酷くなったのが心配です。趾間膿皮症と包皮炎も頻繁に発症するのも気になります。以前はエンログロリア錠を飲んでたのですが効いてる感じではないので薬浴で様子を見る事となりました。
今3ヶ月ごとに 朝、絶食お薬を飲む為さつまいもオヤツだけ食べて半日お預けして病院で診てもらっています。元から左足も股関節脱臼で外れたり入ったりと不自由なのですが歩いています。これから筋力も弱くなるのでその点も気になる所です。3ヶ月ごとのクッシングと低下症の検査とあと診てもらう所と言えば超音波での副腎、肝臓を診てもらう方がより安心なのですか?何かアドバイスがあれば教えて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
>稲澤様
返信が遅くなり申し訳ございません。
ブログ上でのやり取りですと、やや不便な点もございますので
記載されたメールアドレスに後ほど返信をさせていただければと思います。
もうしばらくお待ちください。
よろしくお願いいたします。
お忙しい中返信をありがとうございます。
とても分かりやすく今後の治療の参考になりました。大切な家族なので病気に対する知識と飲んでいるお薬もしっかりと把握しておきたく
不安だったので今回相談して良かったです。
丁寧に対応していただきありがとうございました。