慢性腎臓病の猫さんへのマグネシウム給与
昨日のセミナーとは全く関係ないのですが
今月出された報告に、こういうのがありました。
慢性腎臓病の猫さんに
マグネシウムを補給した食事を与えたらどうか??みたいな
そういう報告です。
慢性腎臓病といえば
リンとかカルシウムとかがどうしても注目されがちなミネラル達で
マグネシウムはあまり脚光を浴びることはありませんでした。
というよりも腎臓病に限らず動物医療分野において
血液検査でマグネシウムが測定されること自体があまり一般的ではないかもしれません。
そのことは一年ちょっと前のブログにも書いています→https://minatomati-animalclinic.com/2023/03/17/2420/
僕としては意味のある検査だと思っていますので
当院ではちょくちょく測定させてもらってはいるのですが
消化器疾患以外では治療まで結びつけることができた例はあまりありません。
あまり普及しないのも仕方がないのかも。。。
ですがこういう報告もあります。
腎結石を持っている慢性腎臓病の猫さんで
血清マグネシウム濃度を評価してみた、みたいな報告です。
ここでは、高マグネシウム血症の猫さんと低マグネシウム血症の猫さんのどちらも
マグネシウムの値がのが正常だった猫さんに比べて予後が悪かったよ、となっています。
腎結石を抱える慢性腎臓病の猫さんの予後指標の一つとして
マグネシウム濃度が使えるのでは?って感じでしょうか。
また、人間の方でも
慢性腎臓病の患者さんにマグネシウムを投与することについて検討されています。
慢性腎臓病の患者さんの中でも、低マグネシウム血症になっている人が
一定数いるみたいなので
そういう患者さんにはマグネシウムを補給するというのは有用なのかもしれませんね。
一番最初に紹介した慢性腎臓病の猫さんの報告の結果はどうだったかと言いますと
マグネシウムを強化したフードを食べていた猫さんは
対照群の猫さんと比較して
カルシウム濃度の上昇を抑えられ、FGF23の増加も認められなかったとのことで
いわゆるCKD-MBDと呼ばれる
慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常に対する新規の治療戦略になるのでは?という結論でした。
実際にどのような形でマグネシウムを補うのが良いのか
何の製剤を使用する方が良いのか、とか
具体的な方法に関してはこれからの話だとは思いますので
すぐに治療に活かせるわけではないかもですが
それでも
慢性腎臓病の猫さんの血液検査時には
マグネシウムを測定する機会を増やしても良いかもしれませんね。
健康診断の項目として確認してみると
何か見えてくることがあったりするんでしょうかね。
色々と模索してみたいと思います。
それでは、今日はこの辺で失礼致します。