歯周病からの敗血症
なかなか証明するのが難しいので
本当にそうなのかはわからない部分もありますが
16歳とか17歳とか、それ以上の高齢のわんちゃんで
元々、それなりの歯周病を持っている子で
そこに腎臓病や心臓病やクッシング症候群などの基礎疾患を持っている子なんかが
突然、発熱したりします。
発熱の原因を血液検査や画像検査で探しても
胸腔内や腹腔内には見つからないけど
検査上は敗血症っぽい感じ。。。
身体の中で一番どこが感染の原因として怪しいかってなったら
歯かな?ってなることが多いです。
なかなかきちんとした証明ができないので
本当にそのような感じで敗血症になっているのかは不明ですが
15歳を超えた高齢のわんちゃんで、しばしば経験しておりまして
何なら、うちの実家にいたわんこも18歳の時に同じようになり
生死の境を彷徨いました。
結局は、そうなる前に歯周病の治療をやっておけば・・・となるわけで
15歳ぐらいまでに歯の治療にはある程度決着をつけておくか
もしくはめちゃくちゃ綺麗に歯を維持するために
小さい頃からデンタルケアや定期的な全身麻酔下でのスケーリングなどを続けるか
どっちかなのかなあ、とか思います。
でも、たまに何のデンタルケアもやってないけど
年齢の割に口の中がすごく綺麗な犬さんとかもいらっしゃって
そういう子は、口腔内の細菌叢のバランスとかがすごく良かったりするんだと思います。
当院でもPeroOneというサプリメントを
口腔内の環境維持のために推奨したりしておりまして
ハマる子には結構良い感じで効果はあるのですが
効果があんまりない子も一定数いるみたいで
そこは改善の余地はありそうに思います。
今後、口腔内細菌の解析とかがもっと進めば
また違ったアプローチもできるのかもしれません。
なので、とりあえず言えることとしては
まだまだ若い子に関しては、日々のデンタルケア習慣をつけてもらいたいですし
定期的な予防的なスケーリングもやってほしいところです。
ある程度、歳を重ねた10歳から15歳の犬さんで
歯周病のある子は、その後に備えて全身麻酔下での歯科処置をしておきたいなあって思います。
で、17歳以上の犬さんに関しては
全身麻酔下で手術をするメリットと、それに伴うデメリットの
どっちが大きいかをきちんと検討して、しっかり相談して
どういう方向性でいくか決める感じでしょうか。
ここはその子その子でどうするかは大きく異なると思います。
デンタルケア、歯周病の管理は本当に大事だと思いますし
時には命に関わることもあります。
所詮は歯磨きだと、軽んじると痛い目を見ることも多いです。
皆様、日々のデンタルケア頑張りましょう。
小さいうちから習慣化しておくことが一番良いと思います。
それでは、今日はこの辺で失礼致します。
いつも興味深く拝見させていただいております。動物も同じ哺乳類なので人間同様に歯周病はあらゆる疾患の起爆剤になり得る存在としてその潜在リスクを充分認識されてない方が少なくないように思います。歯周病の権化となるPG菌自体の数は非常に少ないとされていますが口腔内全体のその他大多数の常在菌等の雑菌が一定の閥値を超えた瞬間からPG菌が煽動者となりその他大多数の常在菌を引き連れて叛乱を起こすと聞きます。故にPG菌の殲滅を計るのではなく口腔内全体の雑菌の総数を抑制するのが肝要ですね。長生き出来ない人の多くは血管内に歯周ポケットから侵入したPG菌等の歯周病菌が血液に混じり循環しているそうです。動物の長生きの秘訣も人間同様、歯の健康にあると思います。
>ニシムラカズシゲ様
ブログをお読みいただきありがとうございます。
他の記事へのコメントもありがとうございます。
返信ができておらず申し訳ございません。少しお時間をいただくことになると思います。
動物においても、あらゆる疾患の悪化因子として
歯周病があるのかなあ、と考えさせられる場面に遭遇することも多いです。
高齢になり歯周病がかなり悪化した段階だと、持病のある場合も多く
全身麻酔下での歯科処置を実施するか悩む場面も少なくないため
可能であれば、若齢の頃から日々のデンタルケアであったり
定期的な全身麻酔下でのスケーリングを習慣化していく方が良いのかなあと考えております。