超低脂肪食
蛋白漏出性腸症という病態があります。
文字通り、消化管からタンパク質が漏れていってしまうような病態でして
血液中の総蛋白濃度やアルブミンというタンパク質が低下します。
原因としては
リンパ管拡張症や慢性腸症、消化管型リンパ腫などが代表的かと思います。
この中でも
リンパ管拡張症による蛋白漏出性腸症に関しては
食事療法がめちゃくちゃ大事になります。
食事中の脂肪分を減らす低脂肪食というものが一般的には用いられますが
通常の低脂肪な療法食に対しての治療反応が悪い場合
超低脂肪食というものを試すことがあります。
超低脂肪食は
食事中の脂肪分をほとんどゼロに近いようにする感じの治療方法で
代表的にはササミやジャガイモ、お米何かを使用します。
この治療を初めて聞いたのは学生時代で
日大の亘先生がこの治療方法のハシリだったように記憶しておりますので
普通に亘先生の授業で習ったのが初めてでした。
当時は
ササミ・ポテトでそんなに良くなるんかあ、と
学生ながらに不思議に思ったもんですが
実際に臨床の現場で治療してみると
中にはすごい良好に反応してくれる子もいたりして
食事って大事なんだなということを思い知らされます。
今日も
重度の蛋白漏出性腸症のわんちゃんで
アルブミンが1.1とかしかなくて
低脂肪食に変えても、ステロイドを飲んでも
ずっと腹水が溜まってお腹がパンパンだった子が
食事をササミとジャガイモにして5日目ぐらいで嘘みたいにお腹がスッキリしたとのことでした。
アルブミンも前回が1.3だったのが、今日測定したら3.2まで上昇しておりました。
超音波検査上、腹水も完全に消失しておりました。
やっぱり食事療法はハマればすごいですね。
消化器疾患も腎泌尿器疾患も食事療法が結構大事な分野かと思います。
誤った療法食は時に病態を悪化させることもありますので
食事療法についての詳しくは動物病院にご相談ください。
それでは、今日はこの辺で失礼いたします。
ヨークシャーテリア2.2kgの必要カロリーは280kcalとして、当初は鶏ささみ150gにジャガイモ100gの約280kcalを与えていてアブルミン値が上昇し腹水もなくなりましたが、現在は鶏ささみとジャガイモの割合は1:2とし超脂肪制限の犬猫用特別療法食を1日30gを与えることとしています。総カロリーは同様に約280kcalになりこれを朝晩の2回に分けますが、鶏ささみを減らしたためか少し食欲が落ちてきました。割合はどの程度が良いのか試行錯誤です。なお、超脂肪制限の犬猫用特別療法食を加えて5日目昨夜より便の量は今までの倍近くとなりましたが下痢が発生しました。
>ケイテイ様
お世話になります。
ケイティさんのご報告ありがとうございます。
カロリー計算であったり、手作り食をご用意していただいたりで色々と大変かと思いますが
積極的な治療を続けてくださりありがとうございます。
食欲の低下が続いたり、下痢症状が続く場合は、また診察に来ていただければと思います。
よろしくお願いいたします。