フィラリア症の予防期間は見直しが必要?
数年前からちょいちょい言われておりますが
フィラリア症の通年予防を推奨しますよー的な
薬品メーカーさんからの『寄生虫通信』なるものが届いたので
一応、共有しておきます。
地球温暖化の影響もあってか
蚊の発生時期は地域によって異なるものの
平均気温の上昇に伴い、蚊の発生時期が延び
中には越冬する種類もいると言われています。
また、蚊の生息域が北上しているとの報告もあり
ヒトスジシマカの生息域の北限は2010年には岩手県まで広がり
2017年には青森県への侵入と定着が確認されています。
それに加えて
蚊の体内でのフィラリアの幼虫の発育は
気温が高いほど短い期間で完了するとも言われています。
これらのことから
フィラリアに感染するリスクが高まっていると考えられており
感染状況は地域によってかなり差はあるものの
American Heartworm Society(米国犬糸状虫学会)では
フィラリア予防薬の投薬コンプライアンスの向上と人獣共通寄生虫の感染予防の観点から
犬猫さんともに通年予防を推奨しています。
というのが、概要になります。
それを受けて、全員にフィラリア症の通年予防を推奨するかどうかって話になるわけですが
当院は今のところは、強くは推奨していない感じのスタンスでいくことにしました。
一応、4,5月ぐらいから12月までは飲んでもらうように伝えていますが
通年予防という考え方も最近は出てきてますよーというお話もさせていただくことはありますし
通年予防を希望される方には、通年で薬を飲んでもらっています。
どちらかというと、動物病院主体というよりは
患者様に決めてもらっている感じですかね。
静岡は他の県に比べると年間を通して暖かい気候の日が多いかとは思いますし
今後平均気温の上昇が認められれば、話は変わってくるとは思いますが
あくまでも現時点では
沖縄県のように通年予防を絶対推奨しましょう!とはならないような気もします。
動物病院的には、通年予防をしてもらう方が
薬を買ってもらって儲かるのかもしれませんが
それだったら、その分の費用で健康診断を受けてもらう方が
犬猫さんにとっては有用なんじゃないかなと僕個人的には思います。
そんなわけで
今日はフィラリア予防についてのお話でした。
奈良県で働いていた時は
一年のうちに4,5回はフィラリア検査陽性と出くわしておりましたし
まあまあ重症なフィラリア症の子もおりました。
でも、静岡で働き始めてからは、フィラリア検査陽性は一度しか経験がありません。
静岡市の病気への意識が高いからなのか
当院の患者様の意識が高いからなのかわかりませんが
病気の予防って大切だなって思います。
みんなが頑張れば、確実に減らせる病気だと思いますし
あんまり遭遇機会が少ないから
本当に予防なんているの?みたいに軽視されがちですけれども
フィラリア症の症状で苦しむわんちゃんの姿を見たことがある人は
絶対に予防をするようになるんじゃないかってぐらい
罹ると可哀想な病気じゃないかなって僕は思います。
無駄な薬とかは勧めたくはありませんが
フィラリア予防はしておいた方が良いと思います。
それでは、今日はこの辺で。