問題提起
昨日のあんどえむのyoutubeで
望月が療法食について意見を述べておりました。
確かに、血液検査で肝臓の数値が高いから肝臓療法食を処方されました、という人って
結構いらっしゃるように思います。
この処方の仕方は、はっきりと間違いですと言ってしまって良いと思うのですが
間違い方には二通りあると思います。
一つは、金儲けのためにわざと間違えているパターンですね。
肝酵素が高いことは肝臓療法食の適応にはならないとは知っているけれど
ずっと療法食を食べてもらえたら病院も儲かるから処方しますってやつです。
この獣医師は良心とか持ち合わせてないタイプなのかなって思うぐらい
タチが悪いなあって思いますよね。
でも、まあ、どこの業界にも悪徳な人は一定数いるとは思うので、仕方がないのかもしれません。
二つ目は、本気で心から間違った処方を正しいと信じ込んじゃっているパターンですね。
もしかしたら、実際はこっちの方がタチが悪いのかもしれません。
知識がないせいなのか、マジで肝酵素が高い子には肝臓療法食が必要だと考えてしまっている先生は
必要な治療だと考えているので、真剣に患者さんに勧めてきます。
しっかりと真剣に説明してくれるから、患者さん側も普通は信じざるを得ません。
多くの患者さんは、必要なんだから続けよう、と考えると思います。
そういう先生は
知識をアップデートしようと勉強会や学会に参加したり
医療系の書籍を読み漁ったりなどはせず
自分自身が勤務していた動物病院でやっていたやり方をそのまま踏襲しようとしたり
部分的な知識を自分の良いように解釈し
完全に自己流の治療方法をずっと続けたりしようとします。
別に療法食の分野に限った話ではありません。
尿検査を今まで一度もしたことがないのに
なぜか尿蛋白を抑制するための薬を数年単位で飲み続けている犬猫さんがいたり
心臓の超音波検査をしたこともないのに
なぜかピモベンダンのような強心剤をずっと飲んでいる犬さんがいたり
未だに皮膚や下痢の治療の第一選択として抗菌薬・抗生物質の処方を続けている動物病院さんがあったり
そういうことが日常に溢れています。
動物医療は自由診療であるという点が
やりたい放題の現状を生んでしまっているんですかね。
獣医師という資格も結構厳しめな更新制度とかにしたら変わるのかもしれませんが
そういう制度には絶対にならないわけで
結局のところ、最終的な被害者は動物たちとそのご家族になってしまうわけです。
より良い治療方法を模索しながら
日夜、治療のアップデートを試みることは
確かにまあまあめんどくさいことだとは思います。
変わらないって楽ですしね。
でも、『めんどくささ』を捨てて、質の良い医療は提供できないと思います。
丁寧に説明するのもめんどくさい。
ちゃんと診断をつけて治療をするのもめんどくさい。
勉強することなんてもっとめんどくさい。
そういうことを面倒くさいと捉えることが、患者さんの満足度を落とすのではないかなと。
いや、まあ、そういうテキトーな診察が好みの患者さんもいらっしゃるとは思うので
めんどくさがりの獣医さんにも需要はあるのだとは思います。
でも、ちゃんとして欲しい患者さんもいるんです。
そういう方にはきちんと医療を提供してもらえないかな、と思うんですね。
今日の朝、1人の患者様を家に帰しました。
良くなってお家に帰れたわけではなく
相談の末、最期の時は自宅で家族と一緒の方が良いのではないかという結論になった上でのご帰宅です。
月曜日の午前中から45時間ぐらいでしょうか。
処置室で色々と試行錯誤しながら治療に挑みましたが、勝てませんでした。
ご家族は静岡市外から連日ご面会に来てくださり、懸命に励ましてくれましたが、勝てませんでした。
完全に僕の敗北だと思います。
僕はご家族に謝りましたが、ご家族からは反対に感謝の言葉を頂きました。
本当にその子をとても大事にされているご家族で
どうにか良くしたかったのですが、力が及びませんでした。本当にごめんなさい。
当院に来る二日前にもそれまでの病院さんに行かれていて
なんならそのもっと前からずっと通院されていて
今までの検査結果や現在の薬の内容なども見せていただきました。
上記のいずれかに当てはまるような感じでありました。
なんだかなあ、って思います。
どんな状況であれ、助けられなかった責任は僕にありますし
その前にどんなことがあったとか、とやかく言うべきではないのかもしれません。
でも、せめてガイドラインとか公的な治療指針みたいなものがあるものに関しては
そこから大きく逸脱するようなことはやるべきじゃないのでは?って思います。
とまあ、このままだと愚痴が続きそうなので
悔しい想いを自己研鑽に向けたいと思います。
それでは。