抗腫瘍薬としての分子標的薬
昨日に引き続き、腫瘍内科の話にはなります。
昨日も書きましたが、僕はこういう分野が好きなのです。すみません。
お付き合いいただければ。。。
ボルテゾミブというお薬があります。
プロテアソーム阻害薬というものに分類され
近年、人の多発性骨髄腫に対して有効な新規治療薬として一般的に使用されているそうです。
このボルテゾミブを
レスキュー療法として猫さんの多発性骨髄腫に使用したよ、という症例報告もあります↓
ただ、複数症例に対する治療反応性がどうなの?
猫さんへの安全性はどうなの?みたいな点はまだ評価されていないので
これからの追加研究を待たねばなりません。
分子標的薬は
従来の抗がん剤と比較した時に
ターゲットとする場所がピンポイントであることが多いので
一般的な化学療法の際に懸念される副作用が軽度で済む可能性も高くなります。
(もちろん中には休薬を余儀なくされる場合だってあるとは思います。)
動物医療だと
肥満細胞種に対するイマチニブやトセラニブがその最初になるんでしょうか。
ここ数年の変化だと
以前のブログでも紹介した
尿路上皮がん・移行上皮がんに対するラパチニブやモガムリズマブなんかが有名です。
めっちゃ高いけど、安全性も有効性もそれなりにあるお薬ですが使いますか?みたいなのを
テーマに書いた記憶があります。
そうなんです。
分子標的薬って特殊なお薬でもあるので、基本的にどれもかなり高価なんですよね。
最初に取り上げたボルテゾミブは1バイアルで8万円を越します。
これをどのくらいの頻度でやるかは症例にもよるのでしょうが
なかなか気軽にできるものではないように思います。
ただ、こういう分子標的薬みたいな新規の悪性腫瘍薬が
動物医療にも応用され始めてある程度の時間が経ってきています。
今後はもっと種類が増えてくることが期待されますし
いくらお金がかかってもいいから可能な限り最善の治療をしたい!という方は
年々割合として増えてきている印象を受けます。
(うちの病院だけかもしれませんが)
昨日の話とやや被りますが
使用されるケースが増えれば増えるほど知見は増えていくので
どんどん治療方法は洗練されていくことにはなると思います。
そうすれば、結果的に悪性腫瘍の予後も伸びる可能性は十分あるかと思います。
犬猫さんの死因のトップは悪性腫瘍になっているわけですから
三大死因の他二つである腎臓病、心臓病をきちんとカバーしつつ
悪性腫瘍の治療に対してもより最善の策を講じれるように頑張りたいところです。
また、何か情報などありましたら
ここでもアップしたいと思います。
それでは、今日はこの辺で失礼いたします。