犬猫さんの抗がん剤治療
今月号のSA Medicineという雑誌のテーマが
『化学療法が適応となる腫瘍とその治療薬』です。
化学療法、いわゆる抗がん剤ですね。
抗がん剤治療というと
どうしても悪いイメージが先行してしまいがちで
人間の医療ドラマみたいな
嘔吐が止まらなくなったり
脱毛が酷くなってしまったり
そんな風に思われていることも少なくありません。
僕は内科しかほとんどやることがないですので
個人的には
抗がん剤という治療方法は
腫瘍に対して内科医ができる手段でありますし
効果のある子は、劇的に効く場合も少なくないですから
結構好きな分野です。
もちろん副作用が起こる可能性も十分ありますし
逆に副作用が全くないぐらいの抗がん剤療法は
本当に効いているのか、やや不安な感じを覚えてしまいます。
そういう副作用に対する準備や対策を
如何に上手く取り
抗がん剤治療を受ける犬猫さんと、そのご家族のQOLを下げないように気をつけながら
最大限の効果を発揮させるところを狙うのがポイントなんだと思います。
色々と考えないといけないことが多いというところも
僕の好みの治療手段なわけですが
前の動物病院にいる時にはほとんどやる機会はありませんでした。
たまたま自分に化学療法の適応になる症例が回ってこなかったというのもありますが
一番は、抗がん剤を希望されるご家族様が少なかった?ということがあるのかもしれません。
もちろん、僕の説明の仕方が悪かったり
地域性などによる動物医療に対する考え方の差などもあるのかもしれませんが
ここ一年半ぐらいは
毎週のように誰かしらに何かしらの抗がん剤を投与することが多いように思います。
今週の火曜日に
多中心型リンパ腫の治療で化学療法を行っていた犬さんのプロトコルが一通り終わりました。
半年間にも及ぶ長期的な治療方法でありましたが
無事に全て終わってくれましたので、あとは経過観察に入ることとなりました。
来週も血管肉腫の犬さん、消化管型リンパ腫の猫さんに抗がん剤を投与する予定です。
犬猫さんの抗がん剤治療というと
動物医療に消極的な方はあまり希望されない印象の治療方法ですが
当院の特性上なのか
悪性腫瘍の可能性が高いと判断され
診断がつく前からすでに抗がん剤を希望される方の方が多いように感じています。
やれることは徹底的にやって欲しいという患者様が集まってきてくださっているのかもしれません。
治療に対して積極的な考えをお持ちの患者様が増えることは
動物病院としても1人の獣医師としても
そういった治療に携わることのできる機会が必然的に増えることを意味しています。
結果として、それが経験となり
また次の患者様の治療の際により良いものを提供できるための糧となるように思います。
別に抗がん剤に限らず
循環器疾患や慢性腎臓病の内科管理であったり
基礎疾患を抱えている動物や超高齢動物の麻酔の依頼であったり
色々な経験を積ませていただける機会が増えてきているように感じておりますし
なんとなく良い流れになってきたのかなと思っています。
これも、みなとまちに来て仕事をするようになってから
少しずつ進めてきたことが
やっと認知され始めたかどうかってところまで来てくれた結果かなあと。
やっぱりそれなりに時間はかかるもんですね。
もっともっとたくさんの人に知ってもらうことができたら
より多くの症例を集めることができますし、より豊富な経験を積む機会にもなります。
結果、当院の患者様にとってもプラスに働いてくれるのかなあと。
そんなわけで
犬・猫さんのリンパ腫を始め
術後の血管肉腫、肥満細胞種などなど
化学療法・抗がん剤治療についてご相談などがある方は
ご気軽にみなとまちアニマルクリニックまで来ていただければと思います。
よろしくお願いいたします。
それでは、今日はこの辺で失礼いたします。