異物とコミュニケーション
今日の午前中は緊急手術のため休診とさせていただきました。
ご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。
何の手術かというと異物の誤食による腸閉塞の手術でありました。
昨日の夜に頻回の嘔吐によりショック状態で来院され
夜通しで治療を実施し、朝から手術になった感じです。
タオル状のものが長々と色々なところに引っかかっており
複数箇所を切開しないといけない感じの手術でしたが
無事に手術は終了し、本人は今すやすやと寝てくれています。
昨日来たのなら、昨日のうちに手術をしろよ、って思う方もいらっしゃると思います。
確かに、異物の誤食が確定的で、それによって腸閉塞を起こしているなら
いち早く手術へ向かうべきかと思います。
ただ、今回の場合、本当に異物なのかどうなのかっていうのがわからない状態でありました。
何を食べたかもわからないし、何も食べてないかもしれない、という状況下で
異物を疑い開腹手術まで踏み切るというのは
なかなか難しい点がありまして。。。
もし、お腹を開けて何もなかったらどうしよう?とか
異物を食べさせてしまったのは飼育方法の問題だと捉え
本当のことを教えてくれない場合があったりとか・・・
診断技術というよりも、ご家族様とのコミュニケーションの問題であったりもするわけです。
極力、波風を立てないように説明し、色々と教えてもらわないといけないですし
結果的に、手術したけど異物がなかった場合でも
手術をしたことに一定の意味を持ってもらわないといけません。
いやいや、お前の診断技術が低いから異物を確定できないだけでしょ?ってなるかもしれません。
確かにそれもあると思います。
もっと上手に超音波検査ができる獣医さん、レントゲンの読影がめちゃくちゃ得意な獣医さんなら
確実に異物です、って診断できて、さっさと手術に向かえるのかもしれません。
ただ、過去には
超音波検査上、確実に異物です。絶対に植物の種みたいな丸いものを食べて閉塞しています
と説明させていただき、手術を勧めても
絶対に食べているはずがないとご家族様に言われてしまい、手術ができないこともありました。
結果的に、何度も説明させていただき手術で梅の種を摘出したわけですが
その子の場合も手術の介入が少し遅れました。
結局、最終的にはご家族様ときちんとしたコミュニケーションが取れるかどうかの
そこの問題にかかってくるのかなと考えています。
ご家族様にもきちんと納得していただいた上で、より迅速に必要な手術へと向かうことができるか
そこが救命率の向上へと繋がるのかなと思います。
そういった意味でのコミュニケーション能力も
日々向上していかないといけない部分ですかね。
頑張ります。
それでは、今日はこの辺で失礼いたします。