いびきが酷い
という主訴でフレンチブルさんが来院されました。
その話だけ聞くと
いわゆる短頭種気道症候群と呼ばれるものの一つである
軟口蓋過長によるいびきの悪化なのかなと思います。
実際は、両方の下顎のリンパ節が大きく腫大したことで
気道が狭くなったために
いびきが悪化したような感じではありました。
その子は、左右の膝窩リンパ節、浅頚リンパ節など
他のリンパ節も腫大しており
多中心型リンパ腫を疑い、細胞診を実施することとなりました。
現在は検査結果を待っている期間になりますが
状態が状態だったので
先にステロイドの投薬のみスタートすることとしました。
結果、半日で呼吸状態はかなり改善しました。
患者様が病院に来院された際に
診察してほしい症状の主要なものを『主訴』と呼びますが
動物医療における主訴は
時に獣医師を騙しにかかります。
『昨日から鳴き声が変』という主訴で来院された猫さん
皆様は何を疑いますか?
実際にそういう主訴で病院に連れて来られた猫さんの状態が
尿道閉塞だったこともあります。
尿道に塞栓物が詰まってしまって痛すぎて声をあげていた様子を
ご家族は『声が変』と表現されたんですね。
声が変、という話だけ聞くと
喉頭の病気だったりを最初に考えてしまいそうですが
実際はそう単純でもないわけです。
思い込みというのはすごく危険ですし
自分自身の診察を客観視する姿勢はすごく大事だなと毎回思います。
今回の子も
犬種さんや症状だけから考えると短頭種気道症候群の手術をしないとかな?と
なってしまいそうですが
そこはきちんとモッチーがご家族の話に耳を傾けて
きちんと身体検査をしてくれたおかげで
別の病気を見つられたんだと思います。
問診や身体検査というものはやはり大事ですね。
聴診器や体温計以外の特別な道具を使うわけでもないですし
お金がかかるものではないですが
血液検査やレントゲン、エコー検査といった
いわゆる検査というものよりも大事なように思います。
患者様・ご家族の声にきちんと耳を傾けて色々とお話をして
動物の身体を触診したり聴診したり・・・
これだけのことではありますが
それが医療の原点みたいなものなんでしょうかね。
忘れないようにしたいと思います。
それでは今日はこの辺で失礼いたします。