犬用利尿薬アプカード
犬さん用のトラセミドが発売されました。
トラセミドは長時間作用型のループ利尿薬で
主に循環器疾患の管理
特にわんちゃんの僧帽弁閉鎖不全症や猫さんの心筋症の
ステージC以降によく使用されるお薬です。
当院でもトラセミドを日常的に服用している
わんちゃん・ねこちゃんがいらっしゃいまして
全員に言えることは、おそらくこのお薬がないと存命自体が難しいということです。
それぐらい大事なお薬だと僕としては考えておりまして
個人的な無くなってしまったら診察が続けられない薬剤ランキングとかがもしあったら
かなり上位にランクインしてきそうな、そういうお薬です。
なので、トラセミドの動物用医薬品が発売されて
人間用の薬よりも低用量なので使用しやすいから
皆んな病院に導入するんだろうなあとか考えていたわけですが
どうやらそうじゃないみたいです。
薬品会社の営業の方いわく
思っていたよりも導入する動物病院さんが少ないみたいでして
その理由の一つが
『フロセミドで間に合っているから大丈夫』ということみたいです。
フロセミドはトラセミドよりも生体内利用率の低い利尿剤で
トラセミドよりも効果時間が少ないお薬です。
確かに、わんちゃんの僧帽弁閉鎖不全症による心不全徴候を呈した症例に対する
標準治療にフロセミドが入ってくるとは思います。
が、ACVIMのガイドラインでもトラセミドが登場してから時間は経っておりますし
そこにもフロセミドの反応が思わしくない場合はトラセミドを使用することの記載があります。
重症例になればなるほど
循環器疾患の管理にはトラセミドは必須の薬であると考えているのですが
そうでもないんですかね。
実際、利尿作用が効き過ぎてしまって
脱水になったり、腎数値が上がったり
色々と気をつけないといけない薬だとは思いますが
適切に使用すれば、循環器症例の生存期間がもっと延びると思うんですけどね。
まあ、メーカーさんがどんだけ勧めても
使わない先生は使わないわけですから
僕がここで何言ったって何も変わらないんでしょう。
当院は循環器疾患(犬さん猫さんの心臓病)の内科管理に力を入れて取り組んでおります。
何度も肺水腫になって苦しんでいるわんちゃんや
胸水貯留に悩む猫さんなど
一度ご相談いただければ、何かしらお役に立てるかもしれません。
ご気軽に相談ください。
心臓病、循環器疾患のセカンドオピニオンも随時受け付けております。
よろしくお願いいたします。
それでは今日はこのへんで失礼いたします。