ワクチン接種に来た肺水腫のわんちゃん
昨日退院したチワワさんは
今週の火曜日の午後に来院されました。
来院理由は
『狂犬病ワクチン接種』です。
受付の際に
狂犬病ワクチンのお葉書を提示されたので
こちらも完全にただワクチン接種にいらしただけだと考えておりました。
が、話を聞いてみると
1週間前から咳をしています。
昨日からごはんを食べなくなりました・・・
ん?
何だか雲行きが怪しくなってきました。
いざチワワさんを診察させていただくと
かなりの努力性呼吸。
身体検査上、僧帽弁閉鎖不全症からなる心原性肺水腫の可能性が非常に高そうで
すぐに実施した超音波検査上も
完全に心原性肺水腫を示唆しておりました。
狂犬病ワクチンの接種にただ連れてきただけなのに
いきなりそんなこと言われても・・・
ってなってしまいかねないので
ご家族に病態を慎重に説明させていただき、即入院治療スタートとなりました。
火曜日の夕方18時頃に預かって
その日の夜0時頃には状態改善を認め
酸素室の中ではありますが、横になって寝られるようになりました。
翌日朝の時点でも肺水腫の程度はかなり改善されてきており
ご家族と相談の上で、木曜日に退院となりました。
こういうことは一次診療の動物病院あるあるだと思います。
さすがに今回のチワワさんのケースを見逃すことはほぼないとは思いますが
もし仮にご家族の要望通りに狂犬病ワクチンだけを接種して
そのままお家に帰っていたら
おそらくその日の夜か翌日とかに、この子は亡くなっていたと思います。
フィラリア検査だったりワクチン接種だったり
健康な子が来てくれているであろうと
動物病院側も多少想定してしまっていたりする時に
時たまこうやって落とし穴があったりします。
こういう落とし穴に嵌ることなく
きちんと病気を検出して、適切な対処をするためには
やっぱり問診とか身体検査とかが大事なのかなと思います。
言葉を話すことができない動物たちを相手にしているからこそ
予防関連だからといって気を抜かず
色々なことを想定してこちらも診察に臨まなければなりません。
今回の子は
そういうことを改めて教えてくれた気がします。
狂犬病ワクチンを打つことはできなかったですが
無事に退院できて良かったです。
それでは今日はこの辺で失礼します。