都市伝説
先日、お問い合わせの電話がありました。
『ボルゾイは麻酔をかけたらダメだと聞いたのですが・・・』という内容だったみたいです。
以前に歯科処置のために全身麻酔をかけたボルゾイさんの話をこのブログでも紹介しましたが
こういった内容も含めて
動物医療・動物病院関連には色々な都市伝説的なものがあったりします。
よく診察でご家族の方から聞かれる内容を挙げてみましょう。
『高齢の動物は麻酔がかけられない』
『短頭種のわんちゃんは麻酔がかけられない』
『わんちゃんが外に出ないからフィラリアの予防はやらなくても良い』
『クッシング症候群は治療しなくても良い』
『ステロイドは副作用が強いから飲まない方が良い』
などなどあげればキリがないのかもしれません。
わんちゃん・ねこちゃん仲間の間で広まっていったり
ネット上で色々なホームページやSNSで広まっていったり
本当に多くの情報が歪曲されながら拡散している現状があると思います。
しかも、その多くがそれらを信じてしまうことで
結果的に動物やご家族が損害を被ってしまう場合が多いように感じます。
屋内にいて蚊に刺されたことないんか、って話だと思いますし
そもそも病気で外科手術が必要になるのは中高齢以上の子が多いわけですから
どうやって手術しているんだって話にもなると思います。
冷静に考えれば、そんなわけないでしょ、となりそうな場面も多そうですが
一度そうだと信じ込んでしまうと
考え方を変えることが難しいのが人間という生き物だと思います。
脳科学の分野だったり心理学の分野だったりを勉強することで
洗脳とかマインドコントロールとか宗教とかについて、より詳しく理解することができれば
そういった考え方を素直に変えることができる方法みたいなのがわかるのかもしれません。
そんな勉強もしようと模索はしておりますが
果たして騙されている人にとって
騙されているという事実を告げることが果たして良いことなのか?
そこは少し立ち止まって考えなければなりません。
あれ?自分はもしかして間違っているのかな?騙されているのかな?
と、ふとした瞬間に疑問を感じた人に
騙されていた事実を告げる行為と
完全に自分の行っている行動が正しいと信じ込んでいる人に
事実を告げるのとでは
大きな差があります。
後者の場合は、わざわざそんなことをしなくても良いのかもしれません。
知らない方が幸せなことだってあるとは思います。
ただ、そこに動物の命が関わってきたりすると
大きなお世話的な感じで教えてあげたくなるのが、獣医師としての性なのかもしれません。
心雑音があるという理由だけで
心臓の薬を処方され飲み続けておられる患者様はとても多いんですが
そういった患者様に
心雑音の有無だけで薬が必要かどうかは判断できないんですよ、と告げることに
どれほどの意味があるのか。
感謝していただける場面もあれば、逆鱗に触れてしまう場面だってあります。
難しいですね。
なんだか話が逸れていってしまいました。
より正しい情報だけがネット上に広がるようになれば良いわけですが
聞く人にとって都合の良い情報の方が拡散されやすいと思うので
医療に関しては誤った情報の方が拡散されやすい性質はあるのかもしれません。
そうなると、自分達の身は自分たちで守るしかないわけでして
あれ?なんだかおかしいのかな?と少しでも感じることがあれば
少し引いて視る、視野を広げてみる、色々と調べてみるなどなど
何か行動に移すことで、その状況を変えることはできると思います。
今日も少し長くなってきたので
これくらいで失礼いたします。
それでは。