別に逃げても良いんでは?
僕は2014年3月に大学を卒業しました。
その年の3月28日ぐらいから横浜の動物病院で働き始めました。
学生の頃にその病院に見学・実習に行った時は、そんな面影もなかったのですが
いざ働いてみたら毎日のように院長先生の怒鳴り声が鳴り止まない日々でした。
毎日誰かがターゲットになっていて罵声を浴びせられていました。
僕は新卒の獣医師として働き始めた立場だったこともあったり
僕自身の仕事できなさのせいもあったとは思いますが、標的になることが多い日々でした。
僕が入社した4月の3週目に、9年目の動物看護師さんが院長と喧嘩して次の日から来なくなりました。
翌月の5月に採用された7年目の獣医師の先生は8月に辞めてしまいました。
そのまた翌月の6月に採用された3年目の獣医師の先生も7月のある日突然来なくなりました。
8月には2年目の動物看護師さんと6年目のトリマーさんが辞めてしまいました。
そんな動物病院で働く中で
男性のスタッフが僕以外にいなかったこともあってか
怒鳴られるのもそうですが、平手打ちを食らったり足蹴にされたりすることもありました。
だんだんと精神的にまいってしまったわけですが
『1年目で辞めるなんて絶対にダメだ』という想いがずっとありました。
働いてすぐに退職する人なんてロクな人がいない、みたいな考え方があったのだと思います。
入職後、数ヶ月とか半年とか一年とかで辞めてしまったら
次に採用してくれる動物病院なんてないと思っていましたし
獣医師人生終わりやなと本気で考えていました。
だから辛くても頑張って踏みとどまっていたのだと思います。
ですが、そうやって頑張って耐えていたつもりの日々にも
とうとう限界が来ました。
ある日の仕事終わりに院長先生と二人になった時に告げられた一言がきっかけだと思います。
僕が怒られるようなことをするから悪いのだとは思います。
内容を書くと倫理的にアウトなので詳細は書きませんが
人格否定的な言葉だと考えていただければそれでよろしいかと思います。
そうして
翌年の2015年3月に
僕はその動物病院から逃げ出しました。
本当に社会人としては最低な辞め方だと思います。
でも、僕としては自分の生命を維持するための手段がそれしかないような状態でした。
今になって考えると、それぐらい追い込まれていたのかなと思います。
行く場所がなかったので、実家に逃げ帰りました。
で、一週間何もせずに過ごしました。
一年で逃げ出したやつなんてどこも雇ってくれないだろうし
獣医師として陽の目を見ることはもうないんだろうなあとか
人生終わったなあとか考えながら過ごしていました。
でも、せっかく生きながらえた命なので
何もしないわけにはいかないので
一か八かいくつか動物病院の求人に応募してみました。
そうすると、どこ行っても『ぜひうちに来て欲しい』という回答しか返ってきません。
こんな自分自身でも必要と考えてくださる人がいるんだなと思いましたし
案外、最初の病院をすぐに辞めた、みたいな経歴なんて気にしない人も多いんだなと思いました。
で、結局再就職することになった動物病院の院長が
たまたま獣医循環器認定医だったり
近畿地方の動物病院の勉強会の団体の役員だったり
奈良県の動物病院の勉強会のチームに入っていたり
そこの動物病院に当時北大に勤めていらっしゃった石塚先生がアドバイザーとして入ってくださったり
色々な幸運も重なり
今の僕が形成されました。
そこの動物病院での仕事は責任感もあって大変なことも多かったですが
すごく充実していた日々でした。
何より明日仕事に行きたくないなあという日が5年間の間で一度もなかったんです。
最初の動物病院をすぐに辞めてるのに快く採用してくれたり
色々な経験を積ませてくれた院長には感謝してもしきれない感じです。
こういった経験から僕が出した結論は
『別に逃げたっていいんじゃない?』ってことです。
本当にどうしようもないなら逃げるのも一つの手段だと思いました。
精神的に追い込まれている時は、人間は視野狭窄という状態になってしまいます。
ここから逃げ出したらお終いだとか考えていても
案外『おしまい』にはならないもんですよ、と
今本当に悩んでいる人がいたら僕は伝えたいなって思います。
あと、僕が絶対に心に誓っていることが一つあります。
自分が動物病院をやる立場になったとしても
絶対にスタッフを怒鳴らないってことです。
ミスしたことを感情任せに怒っても仕方がないと僕は思います。
人間誰しもがミスをするもので、それが無い人などおりません。
大事なのはミスした後どうやってカバーをするか
次同じことを繰り返さないようにはどうするべきか?
を一緒に考えることだと思います。
長くなりました。すみません。
不快に思う方がいらっしゃったら本当にすみません。
でも、僕は生きていれば何とかなることって多いと思っています。
追い込まれてどうしようもないぐらいなら、逃げ出して生きて欲しいなって思います。
何が言いたいのかわからなくなってきたので
このへんで今日は失礼しようと思います。
それでは。
お世話になっております。
愛猫を最期まで診ていただき、ありがとうございました。
貴院の皆様には本当に感謝しております。
短い間でしたが私も今まで以上に病と戦う勇気をいただきました。まだまだ悲しみや寂しさからは立ち上がれませんが少しづつ前を向こうと思っています。
大山先生のご経験(とても大変な日々だったと思います)が病院のよい雰囲気を作っているのですね。診察でも先生の素晴らしいお人柄がわかります。今後ともよろしくお願い致します。
>CHIBI母様
こちらこそお世話になります。
チビちゃんとお母様との時間を少しでも長くしたかったのですが
力及ばずで申し訳ございません。もっともっと精進します。
当院の雰囲気が良いと感じていただけるのは、とても嬉しく思います。
患者様が何でも相談しやすい動物病院の雰囲気というのは
動物たちの治療をしていく上でもとても大事だと考えています。
こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします。