猫さんとアミノ酸
今回のブログは
先日の猫さんの慢性腎臓病のより良い管理シリーズの第三弾です。
テーマは『猫さんとアミノ酸』。
猫さんは元々が肉食動物です。
そのため人間とか犬さんとかの雑食動物とは違う点があります。
タウリンというアミノ酸を作れません。
これはタウリンが肉類に豊富に含まれていたため
体内で合成する必要がなかったからですね。
あとはアルギニンというアミノ酸も猫さんにとって非常に重要だとされております。
また、体内でATPというエネルギーを産生する際に
必要なアミノ酸の量が雑食動物に比べると多いとされております。
こういう観点からも
肉類に豊富に含まれるアミノ酸は特に猫さんにとっては重要なわけです。
じゃあ、そのアミノ酸が腎臓と関係があるの?って話になりますが
いくつかそれに関連するデータがあるみたいです。
アルギニンやグルタミン、グリシンやアスパラギン酸などは
腎機能温存効果の可能性が示唆されておりますし
人間と猫さんの慢性腎臓病ではこれらのアミノ酸の一部が減少しているというデータがあります。
ということで、アミノ酸を補充すれば
慢性腎臓病の猫さんにとって良い効果があるんじゃないか?って感じの臨床試験をしてみましたよ
というのが今回のセミナーで紹介されておりました。
臨床試験は半年の間のみというやや短い期間ではありますが
プラセボ群(何も飲ませていない群)と比較して
アミノ酸のサプリメントを投与していた猫さん達は
BUNやCreの上昇が抑えられましたよというデータでありました。
ただ、明らかな体重・筋肉量に関する効果は認められませんでした。
まあ、6ヶ月間の観察期間なので仕方ないのかもしれません。
数年単位で観察を行えば、もう少し違った結果になったかもしれません。
で、この研究で使用されたアミノ酸のサプリメントが
こちらのアミンアバストというサプリメントになります↓
一応、このサプリメント、マウスの研究では
腎障害モデルマウスに対して腎臓に対する保護効果というものが認められており
プラセボ群と比較して
投与していることで尿細管の障害が抑えられていたり
クレアチニンの上昇が抑えられたというデータがあります。
今回紹介されていた臨床研究は
慢性腎臓病の猫さんを対象とした研究ではありましたが
アミノ酸に一定の腎保護効果が期待できるのであれば
わんちゃんにも適応はできるかと思いますし
お写真の通り、サプリメント自体はわんちゃん用の物もあります。
一応、動物病院専用のサプリメントとなりますので
慢性腎臓病のわんちゃんや猫さんで使用してみたいです
という方はおっしゃっていただければと思います。
そんなわけで、今日は猫さんとアミノ酸というテーマで
慢性腎臓病の管理に活かしてみよう、という感じの内容でした。
今回のセミナーの内容は
あと一回で終わる予定です。
これが終わったらまた何か違う話を探したいと思います。
それでは、今日はこのへんで失礼いたします。
こちらの記事についてご意見伺いたくコメントさせていただきます。
初期の腎臓病で、まだ腎臓療法食でなく初期腎臓療法食(タンパク質割合21%くらい)を食べている場合でも、アミンアバストを飲ませはじめても大丈夫なものでしょうか?
アミノ酸摂取量が多くなりすぎることがないか気になっています。
ご意見お聞かせいただけたらありがたいです。
よろしくお願いいたします。
>あおき様
コメントありがとうございます。
わんちゃんのお話でお間違い無いでしょうか?
おそらくアミノ酸の過負荷などにはならないとは思いますが
アミノ酸の負荷が問題ないかどうかに関しては、現在の血液検査、尿検査の結果にもよるかと思います。
尿検査にて尿蛋白が検出されているのであれば、UPCの上昇がないかどうか確認しながら使用する方が良いかもしれませんし
血液中のリンの数値にも影響する可能性はあるかもしれないので
腎臓病によるリンやカルシウムの代謝異常なども関わってくるとは思いますので、Ca、IP、PTH、FGF23などの数値もモニタリングする方が良いかもしれません。
いずれにしろ、血液検査・尿検査・血圧測定などは定期的なチェックを必要とする検査項目ではないかと思いますので
それらの数値を見ながら、使用するかどうかを検討すべきかと思います。
よろしくお願い致します。
お忙しいところ丁寧にお返事いただきありがとうございます!
とても参考になりました。
静岡に住んでいたら御院に通いたい…。
はい、犬のことでした、書いておらずすみません…。
まだ尿淡白もなく、血液検査もクレアチニンが1.5ではありますが、BUNやPも含め全体的に基準値内です。
(SDMAが19で基準値を越えてまして)
引き継ぎかかりつけ医さんとも相談し経過観察しつつサプリメント検討していこうと思います。
ありがとうございました!