猫さんの歯の健康維持
当院は一次診療の動物病院でありますので
日頃の手術は去勢手術や避妊手術が多かったのですが
ここ数ヶ月は月の手術の1/4〜1/3ぐらい歯科の手術であることが増えてきました。
口の中の異常というものは
ご家族の方も気づく場面が多いせいもあるのだと思いますし
基本的には全身麻酔下での処置が必要となりますので
麻酔下での歯科治療を希望されて当院を訪ねてこられる方も多いです。
最近では、16歳とか18歳とかの高齢猫さんや
慢性腎臓病がある猫さん、僧帽弁閉鎖不全症をお持ちの犬さんの歯科処置も多いです。
特に猫さんの歯周病や歯肉口内炎は
著しく生活の質を落とすように思います。
人間なんて、ちょっと口内炎ができただけでも痛いのに
それとは比べ物にならないぐらい炎症がひどいわけですから
そりゃあ痛くて当然なのかもしれません。
食べたいのに口が痛くて食べられないという状況は
想像するだけで可哀想に思います。
全身麻酔のリスクがゼロではないとはいえ
全身麻酔下で歯科処置を行うメリットは大きいと考えているので
基礎疾患がある子だったとしても
当院では積極的に歯科処置を勧めるようになってきました。
その後の経過の良さという経験に裏打ちされてきたものもあるのかもしれません。
ただ、よくよく考えれば
若いうちから歯が悪くならないような管理ができれば
全身麻酔をかけなくても良くなるかもしれないわけですね。
特に猫さんの場合は
中高齢になって全身麻酔をかけないといけない理由の多くが歯科処置であることが多いように感じます。
猫さんの死因を調べたデータはいくつかあると思いますが
大体がTOP1と2が腎臓病と腫瘍であることが多いと思います。
腎臓病で手術になることはほとんどないと思いますし
腫瘍に関しても、以前はもっとも発生頻度が多かった乳がんについては
最近は1歳までの避妊手術の普及により発生がかなり減ってきている印象です。
次に多い腫瘍はリンパ腫でしょうから
手術ではなく化学療法で治療を行うことも多い悪性腫瘍になります。
肥満細胞腫や扁平上皮癌については、基本的に外科手術が必要となるわけですが
猫さん全体から考えた時に、外科手術が必要になる猫さんの割合は少数派に相当するのかなと思います。
あえて極端な言い方をすれば
猫さんの場合、歯の健康さえ維持できれば
若い頃の避妊手術や去勢手術を除けば
全身麻酔をする機会はなくなるかもしれないわけです。
全身麻酔なんぞ、やらなくて済むのであればやらない方がいいですよね。
それぐらい猫さんの歯の健康維持って大事なんじゃないかなと思うわけです。
人間の方も歯の健康を維持することをものすごく推奨されておりますが
同じくらい犬さん・猫さんの歯の健康維持を僕も推奨したいと思います。(特に猫ちゃん)
若いうちから歯磨きをする習慣を身につけていただきたいですし
人間の方でも言われている、口腔内の細菌叢(口腔フローラと言ったりします。)を良くすることが重要だったりします。
それらを日々行うことで
口腔内の環境が悪化しないように管理していくのが理想かと思います。
当院で今現在推奨させていただいている口の中のサプリメントがこの二つ。


裏ブログの方でも何度か登場しておりますが
デンタルバイオとPeroOneですね。
いずれかのサプリメントを継続して使用していただくだけでも
口腔内の環境を改善してくれる効果はあるのではないかなと思います。
当院では、現状スケーリング後や抜歯の後の口腔内管理として
歯磨きとこれら二つを推奨させていただいております。
いずれも動物ナビで定価の20%OFFでの購入が可能ですので
病院コードをご希望の方はご気軽にお問い合わせください。
病院の待合室にも貼ってあります。
最後は宣伝みたいになりましたが
犬さんも猫さんも口の中をより良い環境に保つのはすごく大事なことだと思います。
悪くなってしまったらもちろん全身麻酔をかけての歯科処置を全力でさせていただきますが
可能であれば、そうならないために日頃からのデンタルケアを頑張っていきたいところです。
それでは、今日はこのへんで失礼いたします。