SDMAとリンパ腫
慢性腎臓病のステージ分類の時に行われる検査の一つに
SDMAの測定があります。
一般的にSDMAの上昇を認める時というのは
GFR(糸球体濾過量)の低下を反映しているとされるので
腎臓の機能評価の指標として使用される場合が多いかと思います。
もう一つ、SDMAと同じくらい慢性腎臓病のステージを決定する時に重要なのが
血中のクレアチニン(Cre)濃度であります。
このクレアチニン濃度とSDMAの濃度を合わせて評価して
慢性腎臓病のステージ決定を行うことが多いかと思います。
そんな中、以前より
クレアチニンは高くないのにSDMAが高い子っているよね?
しかもそれってリンパ腫の子に多くない?
みたいな都市伝説みたいな感じの情報がありました。
その情報が去年ちゃんとした報告になったんですね↓
様々な腫瘍を抱える犬さん・猫さんと
そうでない犬さん・猫さんのSDMAの数値を比べた報告になります。
で、結果はどうだったのかと言いますと
わんちゃんでもねこちゃんでも
リンパ腫の症例は腫瘍じゃない症例と比べて有意にSDMAが高い個体が多かったんですね。
リンパ腫の犬さんのSDMA濃度上昇のオッズ比は10.0
リンパ腫の猫さんでは 3.04 だったそうです。
結構、すごい数字です。
この報告では、犬さん・猫さんのリンパ腫患者さんのかなりの数が
クレアチニン濃度の上昇と関連しないSDMA濃度の上昇を示したと書かれてあります。
リンパ腫の時になんでSDMAが上昇するのか?
の細かい機序はわかっていないみたいですが
リンパ腫の診断や治療を行う上での重要なツールとして
SDMAが使用できる日が来るかもしれません。
当院でも今お二人の患者様がリンパ腫の治療を行っております。
この報告にあるように
明らかな腎機能の低下は見当たらないのに、確かにSDMA高いんですよね。
これが化学療法によって寛解になった時に下がったりしたら面白いなあとか思いながら
モニタリングしてみようかなあと考えている次第です。
リンパ腫の検出に一役買ってくれたりするのであれば
健康診断時なんかのSDMAの有用性がより高まりそうな気がします。
こういった情報をきちんと得られるようにしとかないといけないですね。
ちゃんと勉強しないといけないなあと感じた報告でした。
頑張ります。
それでは今日はこの辺で失礼いたします。