心拍変動解析
本日の夕方18時から一つのセミナーがありました。

ちょうど30分ぐらい診察のないタイミングが生じたので
2/3ぐらい聴講することができました。
人間の麻酔科の先生のお話でした。
手術中の心拍の変化を解析することによって
副交感神経の機能を評価するんです。
副交感神経なので
簡単に言うとリラックスしている時に優位になるわけなので
手術中どのくらいリラックスできていますか?っていうのを評価するみたいなもんです。
(*本当はもっと細かく解析しているんですけど、わかりやすくするために簡単に表現しています。)
反対に身体にストレスがかかると交感神経が優位になるので
副交感神経の作用は落ちてくるわけですね。
手術中に起こる生体へのストレスの代表といえば、『痛み』です。
つまり、痛い刺激が加われば交感神経優位になりますし
鎮痛薬が上手く作用していれば、副交感神経が優位になるといった、そんな感じです。
それを周術期の管理にうまく利用できれば
患者さんの利益につながるんじゃないか?みたいなのが今回のセミナーのざっくりしたテーマです。
今回のセミナーは人間のお話なので
機械ももちろん人間に使用するものなのですが
これと同じ原理を用いたものが、動物用にもあるんですね↓
https://www.heiwa-bussan.co.jp/ptamonitor/

手術中の疼痛というものを客観的に評価するのってなかなか難しくてですね。
どちらかというと心拍数や血圧の変動や手術が今どういった場面か?とかによって
麻酔科医が主観的に評価して、痛いのか痛くないのか?
というのを判断せざるを得なかったんですが
こういう機械があれば
痛みを客観的に評価できる可能性が出てくるんですね。
そうすることで、より痛みのコントロールがしやすくなったり
今日のセミナーでおっしゃっていたのは
過剰な鎮痛剤の投与を避けることにも繋がる可能性があるということでした。
より良い周術期の管理ができるようになりそうな
そんな夢が広がる機械ですね。
ただ、やっぱり問題は色々とありまして
じゃあこの機械を導入したからといって
手術時の麻酔の料金を一手術あたり1万円とか2万円とか上げることができますか?
となれば
そこはなかなか難しいのが動物病院というものです。
実際にこの医療機器を導入しても
術後のわんちゃんやねこちゃんのご様子をというものを劇的に変化させるものではないとは思います。
こういった患者様から見て
今までと何が違うのかわかりにくい医療機器というものは
導入したところですぐさま病院の利益に繋がるものではありません。
おそらく機械を導入しただけで麻酔料金を上げれば
『値上げした』とか『高い』とか批判を浴びる可能性があるのが、動物病院というものです。
そうすると麻酔料金を上げることはなかなか難しくなります。
機械を入れたけど売り上げは変わらない状況となってしまい
結局は、金銭的に余裕があって、かつ医療の質を求める動物病院にしか
こういう機械が導入されることはない、という事態になりますね。
そうなると
導入する動物病院の数がそもそも多くないわけですから
より洗練された動物医療を受けることのできる動物の数は
なかなか増えることはないのだと思います。
難しいですね。
病院側と患者様側が求める動物医療の方向性がそれなりに同じになれば
そういった問題も良い方向に少しは動いていくのかもしれませんが
道のりはまだまだ遠いようには感じます。
とりあえず、当院は頑張って患者様の数を増やして
移転を無事に終えるのが先決ですね。
移転後に頑張ってお金を貯めることができれば、望月にねだってみようかなと思います。
いや、もっと他に必要な医療機器がありますかね。すみません。
今日はこれくらいで失礼いたします。