5月30日月曜日の診察時間です。麻酔中の3種の神器について。静岡市清水区の動物病院、みなとまちアニマルクリニックです。
こんばんは。大山です。
5月30月曜日の診察時間です。
午前中は 9時30分 から 12時 まで
午後は 17時 から 20時 まで(受付は診察終了30分前まで)となります。
よろしくお願いいたします。
2週連続で麻酔のセミナーがありまして
全3回から構成される、画竜点睛セミナーが終わりました。
画竜点睛って、最後の仕上げのことですよね。
龍の絵に最後、目を書くことですもんね。
全身麻酔をかける上で、細かいところを抑えることで
より繊細な麻酔が可能になるための最後の仕上げ的なセミナーということなのでしょうか。
それとも単純に言葉の響きがカッコイイからつけただけなんでしょうか。
真意はわかりませんが、とりあえず全3回が終わりました。
来月は、呼吸器麻酔セミナー、麻酔道場、循環器を究めるセミナーと
麻酔・循環管理系のセミナーはまだまだ事欠きません。
楽しみな6月はもうすぐそこまで来ています。
麻酔のセミナーの中で
何度か登場するのが『麻酔中の3種の神器』です。
メデトミジンの100倍希釈液
エフェドリンの100倍希釈液
アトロピンの10倍希釈液
がそれにあたります。
僕も基本的には全身麻酔をかける時はこの3つの薬剤をスクラブの胸ポケットに入れた状態で臨みます。
先日のセミナーの中では
この3薬剤を用意しておき、適切なタイミングで適当な量を使用することで
麻酔中の動物が亡くなることはない、とまで言われておりました。
そこまで言っていただけるとすごく心強いなと感じます。
実際に、この3薬剤をいつでも打てる状況下で全身麻酔をかけると安心感が違います。
もちろん症例によっては
もっとたくさんの薬剤を準備しとかないといけない場合もあるとは思います。
大量出血が予想されるような症例であったり、術後に貧血に苦慮すると予想される場合には輸血がいるかもしれません。
ですが、少なくともどんな手術でも最低限用意しておくべき薬剤であり
これがあればすごく心強いという薬剤が上の3つだということです。
今日は静岡市外から麻酔についてのセカンドオピニオンとして来院された方がいらっしゃいました。
先日、他の病院さんで麻酔をかけて処置をしようとしたら
呼吸が止まってしまったため、急遽中止したとのことでした。
これだけ聞くと、『ん??』と頭の中にクエスチョンマークが並びます。
当院が全身麻酔をかけて手術を行う時の9割以上の症例は
自発呼吸を止めて人工呼吸で行っております。
ここのやり方は動物病院さんによってそれぞれだと思いますし、自発呼吸を維持して手術をされる病院さんもあるとは思います。
そこに関しては、どっちでも好む方をやればいいのかなあ、とは思うのですが
呼吸が止まっただけで何で中止をしなければならないのだろう?という疑問が浮かぶわけです。
数年前に大阪の産婦人科で
無痛分娩を行うために麻酔を実施した際に妊婦の方が亡くなるという痛ましい事故がありました。
当時麻酔を実施した院長は適切な対処ができなかったために
患者様は低酸素となり死亡したという事件です。
気管挿管もできないのに何で麻酔かけようとか思うのかな?と当時すごく憤りを感じたことを
今でも鮮明に記憶しています。
全身麻酔って準備がほとんどだと思うんです。
確かに3時間、4時間以上となる大きな手術になれば
予測し得ないこともあるのかもしれません。
ですが、特に小動物臨床の分野に至ってはそこまで長時間の麻酔になることはあまり多くはありません。
脳外科とかであれば別ですが
一般的な動物病院であまり行われる手術ではないとは思います。
もちろん、100%安全な麻酔など存在しないと僕は患者様には説明をします。
それはどんだけ準備をやったとしても防ぎきれないことも稀には存在するかもしれないとは思うからです。
ですが、呼吸が止まったということは
その防ぎきれない事故には含まれないだろうと思うわけです。
一般的に麻酔の導入薬として使用される薬剤は
投与スピードが速ければ、容易に動物の呼吸を止めます。
そんなこと皆んなわかっているわけで
わかっているからこそ、呼吸が止まるであろうことを想定して麻酔をかけるわけです。
今ここに書いていることは
昨日のセミナーを受講している先生方からしたら、当たり前じゃん!となることなんでしょうが
それがまだ世の中の動物病院の当たり前となっていないから
わざわざ1時間以上もかけて当院に来なければならない事態となっているのだと思います。
オーナー様はものすごく好い方で、通院時間など全然気にしないとおっしゃっていただきました。
僕としては、日本全国どこにいても同じような麻酔の技術を提供できない現実を、すごく申し訳なく感じました。
当院に来ていただくのはとても光栄なことですし嬉しいことではあります。
ただ、こういった現実をどうにかできないものかなあ、とやや憂いておるわけです。
そんなことを憂うことのできる大成した立場でもないので
何を調子乗ったことを言っとるんや、となるのでしょうが。
じゃあ、誰かこの状況を変えていただけませんか?とここに書いてみます。
獣医麻酔学の大家のような方が、奇跡的にこの記事を読んでいれば
もしかしたら何か少しでも変わるかもしれません。
ひとまず世の中が変わらないうちは
僕は僕にしかできないことをやろうと思います。
静岡県で麻酔に関して不安のある方がいらっしゃるのであれば
何でもご相談ください。
まだまだ小さい動物病院ですが、やっていること自体にはそれなりの自信があります。
よろしくお願いいたします。
それでは、今日はこのへんで失礼いたします。