10月13日水曜日の診察時間です。猫ちゃんの特発性膀胱炎についてのセミナーを聴きました。静岡市清水区の動物病院、みなとまちアニマルクリニックです。
こんばんは。大山です。
10月13日 水曜日の診察時間です。
午前中は 9時30分 から 12時 まで
午後は 17時 から 20時 まで(受付は診察終了30分前まで)となります。
よろしくお願いいたします。
現在、開催中の日本臨床獣医学フォーラムですが
オンラインなので、スキマ時間に講義を受講するようにしております。
先日受講した講義のテーマは、猫の特発性膀胱炎について。
膀胱炎に悩む猫ちゃんは比較的多く
頻尿や血尿などといった、いわゆる猫の下部尿路疾患といった臨床症状を
一度は経験した方も多いのではないかと思います。
猫ちゃんの膀胱炎の原因の一番が特発性膀胱炎と言われており
特に感染性膀胱炎の割合は、かなり少ないされております。
というより、感染性膀胱炎や結晶性膀胱炎の背景に特発性膀胱炎が隠れているケースも多く見受けられます。
もともとは特発性膀胱炎が存在したということですね。
それにも関わらず、膀胱炎症状の猫ちゃんが動物病院に来院した場合に
尿検査すらしていないのに
盲目的に抗生剤を処方されるケース
セフォベシンという2週間効果が持続する抗生剤を注射されているケースが後を断ちません。
現在はそんなことを偉そうに言っておりますが
僕自身も、大学を卒業した当初、働いていた病院では
膀胱炎症状に対してはルーチンのように抗生剤と止血剤を処方するように言われておりましたし
おそらく勤務先でそのように刷り込まれた獣医師は数多く存在すると思います。
一度、刷り込まれたものは中々やめることは難しく
特に、特発性膀胱炎は一般的には何もしなくても勝手に良くなるケースも多い疾患とされております。
その勝手に症状が緩和したのを見て、抗生剤が効いたんだ!と思ってしまうから余計にやめられなくなります。
難しいですね。
今現在、推奨されていることとして
膀胱炎症状で来院された猫さんに対しては
尿検査と超音波検査は必須とされております。
そこで、感染や結石、腫瘍などの明らかな原因を除外した上で特発性膀胱炎と診断し、治療にあたります。
具体的な治療としては
痛みの緩和とストレスの軽減ということになるわけですが
頻尿傾向があり排尿痛を伴っていそうな場合、痛み止めが推奨されております。
痛み止めの選択に関しては
NSAIDsと言われるものでもいいのかもしれませんが
望月がアメブロでも書いておりました通り
脱水のある子などは特に腎障害のリスクを伴います。
ですので、僕自身はオピオイドという分類の薬を使用するようにしております。
あとは、ストレスの緩和ということになるのですが
これは猫ちゃんによって何がストレスかはその子によって当然異なりますし
なかなか難しい問題です。
出張で普段はいないお父さんが帰ってきた時だけ膀胱炎になる猫ちゃんもいらっしゃいますし
隣の家で工事が始まったり、来客があった日だけ膀胱炎になる子もいらっしゃいます。
トイレの大きさ・場所・砂の種類などが気に食わなかったり
室内の模様替えをしたら膀胱炎になる子もいらっしゃいます。
ほんと難しいですね。
ですので、今回の講演でも日獣大の宮川先生がおっしゃっていましたが
特発性膀胱炎は
治らない・根治は無理な病気だということです。
治療としては、再発までの期間をいかに長くするかがポイントであり
顕微鏡で検出される血尿は基本的に無視していいとのことでした。
要するに、本人の生活の質を落とすような、排尿痛を示すような状況を作らず
見た目上は黄色い尿をしているのであれば
尿検査上で血尿が出ていても基本的には問題ないということです。
血尿と聞くと
飼い主様の多くは深刻な問題に捉えてしまいがちですし
実際、深刻な病気が隠れていることもあります。
ですが、今回の猫ちゃんの特発性膀胱炎というものに関しては
付き合っていかないといけない病気ではあるけれど
症状さえ示さなければそれほど深刻に捉える必要はないもの、という認識でいいのかなと思います。
というわけで、今日は猫ちゃんの特発性膀胱炎についてのお話でした。
それでは!