誰を信じるのか?
ある獣医師は薬Aを飲んだ方が良いと処方しますが
同じ薬Aに対して
別の獣医師は飲まない方が良いと言うことがあります。
動物医療において、このような場面は少なくありません。
というか、セカンドオピニオンみたいな相談系の診療だと
多くがそんな感じかもしれません。
先日僕が相談させていただいた方は
食欲が不安定な慢性腎臓病の高齢猫さんと暮らしています。
クレアチニンは3.0ぐらいのステージ3あたり。
かかりつけの動物病院では、腎臓の保護になるから、という理由で
フォルテコール(ACE阻害薬の一つ)を処方され、ずっと飲んでいるそうです。
もちろん、高血圧も尿蛋白もありません。
皆様が想像される通り、皮下点滴も週2回とか3回とかで実施するように命じられています。
そういう状況なら普通はフォルテコールをやめた方が良いですよ、って伝えるじゃないですか?
先月アップデートされたガイドライン上も
尿蛋白のない慢性腎臓病の猫さんへのACE阻害薬の投与は推奨されておりませんし
そもそも腎臓に対して悪影響を与えるような薬物を避けるというのも立派な治療の一つだと思いますし
この猫さんの輸出細動脈を拡張させることが本当に腎保護として作用するのかは
猫さんの世界ではまだはっきりとしていないはずです。
むしろ食欲が不安定でかつ、皮下点滴が本当に必要な症例に対してACE阻害薬を服用させることは
まあまあ危険な行為かなと僕は考えているので
本当に腎保護効果があるとしても、すごく危険な腎保護治療であるように思います。
なので、僕はフォルテコールをやめた方が良いと思います、とお伝えしました。
ただ、その方としては、かかりつけの先生が推奨して処方したものなので、なぜ??となってしまいます。
その後、僕が伝えさせていただいたことを、そのままかかりつけの先生に伝えたそうです。
それでも、その先生は意見を曲げようとはせず、腎保護になるから・・・という形で
ACE阻害薬の服用の継続を推奨されました。
こうなってくると、僕としてはどうしようもないな、ってなるわけです。
患者さんとしては、かかりつけの先生を信じたい、という気持ちが一定あるでしょうし
別に僕自身も全員を自分が診察したいとは全く考えたないですし
標準治療はこうですよ、とか
それは危険な行為かもしれないですよ、と伝えても信じてもらえないのであれば
まあ、それはもう仕方がないなってなるんですね。
2人の獣医がいて
お互いが全く別のことを言っているのであれば
最終的にはどっちを信用するか、って話じゃないですか?
人間というものは基本的に自分が選択したことを正しいと思いたい心理的なバイアスがかかると思うので
今まで通ってきたかかりつけの動物病院を否定されることとか
信用できると信じていた獣医師は間違っていると指摘されることとか、については
あんまり好ましく聞き入れようとしないと思うんです。
だから結局しょうがないよなあ、って思うんですけど
結果的に害になるであろう薬を投与される猫さんは可哀想だなって思いますし
間違っていることを間違ってますよって指摘しても聞き入れてはもらえないのかあって思うと
なんとなくモヤモヤするものがあって。。。
なので今日のブログは愚痴みたいになってしまいました。
もっと偉くなったり有名になったりすれば信じてもらえたりするのかなあ、とか
歳を重ねれば信用してもらえるのかなあ、とか
そんなしょうもないことを考えておりました。
すみません。おしまいにします。
それでは。
大山先生、私も ずっとモヤモヤしたまま重苦しい気持ちを抱えた毎日を送っています。
友人の猫さんの旅立ちから3週間が過ぎたと言うのに。
飼い主は飼い主で、長い間 大切な家族の犬さんや猫さんと暮らしていると いつもは感じない気付きや違和感、疑問を感じることがあります。
今回の事も何故根本的な原因を調べて頂けないのかと 私は感じても友人から かかりつけの病院も一生懸命やってくれているからと言われてしまえばそれまでになってしまいます。
医療の専門家ではない素人の私でさえ今何とかしなければ命を落としてしまう… そう感じながら、何とか助かって欲しいと思いながら送る日々は苦しいものでした。
私は私の胸におさめていますが、早い段階で しっかりと大山先生に診察や検査をして頂いてたら、たとえ難しい病気だったとしても今もまだ、家族との暮らしが続いていたと思っています。
こんなに悲しいことが起こることもあるのですね。
今回の経験から今まで以上 わが子達を大切に育てていきます。