急性下痢にはとりあえずフラジール(メトロニダゾール)という問題
飲み会の際の注文は、とりあえず生みたいな感じかもしれませんが
動物医療には、『下痢にはとりあえずフラジール(メトロニダゾール)』という悪しき風習がありました。
以前に何度かこのブログでも書いたかと思いますし
注意喚起され始めてからそれなりの月日が経過しているように思うので
さすがにもうそんなことをする動物病院はないんじゃないかな、って思った矢先に
今日出会ったので、注意喚起として書いておきます。
フラジール(メトロニダゾール)は抗菌薬の一つになるので
いわゆる『下痢には抗生物質』みたいな治療になるわけですが
何が問題かを端的にいうと
フラジールを飲むと一時的に下痢が良くなっちゃうことがあるというのと
その一時的なフラジールの投与によって長期的に考えると腸内環境は悪くなるってことですね。
後は抗菌薬乱用による耐性菌なども問題にはなりますが
簡単に言うとそんな感じです。
急性下痢に対して全く効果がないのであれば
どの獣医師も使わなくなるとは思うのですが
下痢に対して一定の効果が出てしまうのが厄介な問題を生むのかなと思います。
フラジールに関しては、急性下痢に対して効果があったっていう論文と
効果がなかったよっていう論文があるのですが
一応ここでは、効果があることもあるという論文を紹介しておきますね↓

こちらの論文では
プラセボ群と比較してメトロニダゾールを使用した群では
急性下痢症状改善までの期間が1.5日早かったということになっています。
つまりは、フラジールを飲んでた方が1.5日早く下痢症状が良くなったってことになります。
これだけ読むと
急性下痢にフラジール使用しても良いんじゃないか、ってことになるかもしれませんが
先ほども申し上げました通り
長期的な目で見ると、腸内環境への悪影響が報告されていたり、耐性菌のリスクが叫ばれています。
今度は、悪影響に関する論文を紹介します↓

こちらの論文では
犬さんの急性下痢に対するメトロニダゾールとシンバイオティクスの効果を比較しています。
結果、両方とも臨床経過に差はないものの
メトロニダゾールの投与は腸内細菌叢に悪影響を与えることがわかり
急性下痢に対しては、メトロニダゾールの投与よりもシンバイオティクスの方が望ましい治療である可能性がある
との結論になっています。
実際、個人的な体感にはなりますが
フラジールやビクタスなどの抗菌薬を
若齢のわんちゃんやねこさんの下痢に対して乱用されるケースは少なくありませんでしたが
過去に抗菌薬を処方されていた犬猫さんは
その後定期的に下痢症状に悩まれることが多いように感じていますし
実際に、一歳以下の抗菌薬の使用経験が将来的な慢性腸疾患のリスクになるというような報告もあります。
1日半下痢を早く改善させる可能性があるとしても
その後、定期的に下痢を引き起こしてしまう可能性があるのであれば
やっぱり急性下痢に対してフラジールを使用すべきではないと思います。
ガイドライン上でも急性下痢に対する抗菌薬の使用は基本的に反対されていますし
『下痢にはとりあえずフラジール』みたいな公式が未だに残っている動物病院は
結局は、自分たちの手で慢性下痢の症例を増やしている可能性があり
病気を治療しているように見せかけて、医原性に引き起こしている可能性があるという
なんとも恐ろしい存在であることを知っておいていただけると良いかなと思います。
ご参考になりましたら幸いです。
それでは。