高齢猫さんへの健康診断のすすめ

イギリスの二つの一次診療の動物病院で
健康診断を受けた高齢猫さん549頭において
どのくらい疾患が見つかったか、を調べた研究です。
めちゃくちゃ単純に考えると
高齢の猫さんに健康診断をやったら
これぐらいの確率で何らかの病気が見つかりますよ、というデータなので興味深いですね。
論文の内容をまとめると以下のような感じ。
・イギリスの一次診療二ヶ所で、既知の慢性疾患がない8歳以上の猫さん549頭を対象に健康診断を実施。
・対象猫さんの年齢中央値は13.5歳で、85.2%は実施施設を初めて受診。
・全体の42.1%で、治療・追加検査・経過観察が必要となる疾患又は重要な異常を検出。
・最も多かった内科疾患は甲状腺機能亢進症で、検査・追跡により評価できた猫さんの19.2%に認められた。
・高窒素血症を伴う慢性腎臓病は11.4%に認められたが、非高窒素血症性CKDは十分に評価されていない。
・CKDと診断された猫さんの25.8%はSDMAが基準範囲内で、51.6%は18μg/dl未満だった。
・高血圧は7.1%に認められたが、初回血圧が160mmHg以上でも、再検査で正常化する猫さんが少なくなかった。
・尿検査を受けた猫さんの9.7%で細菌尿が確認され、CKDが最も多い併存疾患だった。
・重度の歯科疾患は6.1%、糖尿病と腫瘍疑いはそれぞれ1.5%に認められた。
・2年以内に健康と判断されていた猫さんからもCKD、高血圧、甲状腺機能亢進症などが新たに見つかり、定期的な健診の必要性が示された。
要点はこんな感じになりますが、いくつか注意点もありまして。
この論文は、無料の研究参加型健診を受けた猫さんが対象であり
さらに、すでに慢性疾患と診断されている子たちは除外されているので
純粋に高齢猫さんの42.1%に疾患が見つかったというわけではない点には注意です。
また、甲状腺機能亢進症よりもCKDの割合が少なくなっていますが
このCKDの診断は主に高窒素血症のあったものになるため
画像検査やタンパク尿によるCKDの評価が十分ではなく
CKDの割合を過小評価している可能性があります。
あと、SDMAに関しては興味深いですよね。
高窒素血症のCKDの約4分の1でSDMAが基準範囲内だった一方
CKDと診断されなかった猫さんの11.7%でもSDMAが高値でした。
SDMAを今後どのように扱って良いのか
少し惑わせてくる結果になっているなって思いました。
というわけで
今回は、イギリスの動物病院で高齢猫さんが健康診断を受けたら
どのくらいの割合で疾患が検出されるか?の論文を見てみましたが
日本でも同じようなもんかなって思っています。
この論文の年齢中央値が13.5歳なので
やっぱそれぐらいの年齢になると、何かしらの病気が検出される割合は高くなるのかな、って感じでしょうか。
人によっては
これくらいの年齢からは病気が見つかっても治療はしないかな、的な方もいらっしゃるとは思いますが
多くの病気において
ある程度、病態が進行してから治療を開始するよりも
早期発見・早期治療が予後を改善させる可能性は高くなるとは思います。
健康診断をすれば、予後が改善するとまでは言えないとは思いますが
少なくとも、病気を早期に発見できる確率は上がるんじゃないかなって思います。
この論文は8歳以上という条件で実施しておりますので
8歳とか10歳とか超えてきたら
定期的な健康診断は積極的に検討しても良いのかもしれないですね。
それでは、今日はこのへんで。