腎臓病による組織石灰化に対するビタミンKは有効か?
先日の腎臓病療法食のセミナーの中で
いただいたご質問の中に
CKD-MBDにより引き起こされる組織石灰化に対して
ビタミンKの補充は有効ですか?
みたいなご質問があったんですけど
正直わかんなかったので、わかりません。ごめんなさい、となったのですが
わからないままなのも嫌なので調べさせていただきました。
その回答を以下に書いておこうと思います。
僕が調べた感じの情報なので、間違いがあるかもしれませんので
あくまでも参考程度になさってください。
ビタミンKは脂溶性ビタミンの一つになりますが
体内には、ビタミンK依存性タンパク質というものがありまして
その中の一つにマトリックスGLAタンパク質(MGP)というものがあります。
このMGPが、血管や南部組織の石灰化を抑える上で重要なタンパク質みたいで
このMGPがきちんと機能するには、ビタミンKによるカルボキシル化が必要らしいのです。
つまりは、ビタミンKが不足してしまうと
このMGPが活性化できず、石灰化抑制能が落ちてしまうと考えています。
人の慢性腎臓病領域では
この活性化できていな不活性型のMGPがビタミンK不足や血管石灰化のリスク指標として研究されています。
ただ、主に研究されているのは腎臓そのものの石灰化ではなく
血管の石灰化、主に冠動脈や大動脈の石灰化や、血管硬化、心血管リスクみたいで
ビタミンKの補充が腎臓の組織石灰化の予防や治療に有効かどうかの
直接的な証拠は乏しいようです。
2023年のシステマティックレビュー/メタ解析では
慢性腎臓病患者さんの血管石灰化に対するビタミンK補給については
現時点では保護効果を支持する十分に確実な証拠はないと結論づけられている一方で
透析患者を対象としてVitaVask試験というものでは
ビタミンK1
補給によりビタミンK濃度が上昇し、不活性化MGPが減少し、心血管石灰化の進行が
抑えられた可能性が示されているそうです。
ただ、こちらは症例数が限られているので、標準治療とまではなっていないみたいです。
人間の医学領域においてもこんな感じが現状かと思うので
犬猫さんの慢性腎臓病においては
ビタミンK補給が腎臓の石灰化や血管の石灰化、慢性腎臓病の進行や生命予後の改善などに対して
有効かどうかは
現時点では信頼できる臨床研究をみつけることができませんでした。
生理機序から考えると理論上は有効である可能性もあるとは思うので
今後の研究次第では
ビタミンKの有効性が確認される可能性はあるかもしれません。
現段階では、そうした報告を待つ形になるかと思います。
そんなわけで今日は
ビタミンKと石灰化のお話でした。
それでは、今日はこのへんで失礼いたします。