SGLT2阻害薬をシュウ酸カルシウム結石の犬さんに使用してみたという報告
シュウ酸カルシウム結石は
犬猫さんにおける一般的な尿石症の一つでありまして
ストルバイト結石とは違い、療法食による溶解が困難な尿石症です。
尿比重を減らす取り組みであったり
クエン酸やサイアザイド系の利尿剤など
色々とその対策としては講じられてはいるものの
再発を繰り返す子は一定おり
何度も外科的な摘出が必要になる子もたまにいらっしゃいます。
今回のケースレポートの症例もそんな犬さんでありまして
シュウ酸カルシウム結石の再発が続く中で
色々と考えられる治療をやってみたものの
上手くコントロールができないので
適応外ではあるもののSGLT2阻害薬を試してみた、という報告です。

この研究の背景としましては
糖尿病だけでなく、心不全や慢性腎臓病の一部の患者さんに適応が広がっているSGLT2阻害薬が
尿路結石に関連する尿中因子を変化させる可能性があったり
ラットのモデルでは尿中シュウ酸排泄を減らした報告があったり
非糖尿病のヒトの結石患者さんでは、尿中クエン酸排泄を増やす報告があったりで
実際に、SGLT2阻害薬を使用中の患者さんにおいて
尿路結石リスク低下の関連の報告が複数あるみたいです。
そういうのもあって、今回チャレンジしてみたみたいですね。
ただ、この報告の結果は、あまりよろしいものではありませんでした。
結論だけまとめると
再発性シュウ酸カルシウム尿石症の犬さんに
ヒドロクロロチアジド・クエン酸カリウム・療法食に追加して
ダパグリフロジンを使用したものの
尿中カルシウム・クレアチニン比は改善することなく
むしろ、尿糖の出現や酸性尿への変化、尿比重の上昇、結晶尿、体重減少などが認められ
最終的には12日で中止されています。
SGLT2阻害薬は理論的には尿石リスク因子を変化させる可能性はあるものの
犬さんでは、安全性や有効性は不明であり
特に飲水不足やサイアザイド系利尿剤併用時にはカルシウム尿石のリスクをむしろ高める可能性がある
とされました。
どっちかというと失敗例みたいな報告かもしれません。
SGLT2阻害薬自体は
前述の通り、ヒトの方では糖尿病だけでなく慢性腎臓病や心疾患の患者さんにも適応が広がっており
猫さんの心筋症や犬さんの僧帽弁閉鎖不全症、犬さんのタンパク尿が出る系の慢性腎臓病などでは
今後もしかしたら使用される機会が出てくるのかもしれません。
ただ、今回の使用例みたいに
やはり脱水のリスクというものは懸念事項としては存在すると思いますし
薬剤を使用する上では、きちんとしたモニタリングを実施した上で使用すべき薬剤なのかなといった印象です。
そういう注意喚起という意味でも
意味のある報告かな、と個人的には思いました。
それでは、今日はこのへんで。
明日は慢性腎臓病の療法食についてのセミナーです。
よろしければご参加ください。