多中心型リンパ腫の犬さんに抗がん剤を開始する前のステロイド単独投与はやらない方が良さそう
獣医しか入れないサイトっていくつかあるんですけど
その中で、気になる論文を紹介してくれるサービスを行ってくれているところがあります。
今から10時間前ぐらいに
今回の紹介論文の概要が送られてきました。
別に獣医さんだけに情報を留めておく必要性もないと思いますし
論文検索自体は患者さん側もできることなので
ここでも紹介しておこうと思います。

こちらの論文。
今月の8日なので、4日前のものですかね。
タイトルだけ読むと
ステロイドの前投与の用量とか期間は
いわゆる多中心型リンパ腫の予後に影響しない
みたいなことになってしまうかもしれませんが
この論文の意味的には
ステロイドの投与量とか期間とか関係なく
先にステロイドを打って治療されてしまっていると
その後の化学療法による奏効率は落ちてしまうし
結果的に生存期間も落ちてしまうんだよ
だから化学療法開始前のステロイドの使用は極力避けようね
という感じの主旨みたいです。
この論文の一部のデータを見ていくと
CHOP療法と呼ばれる
いわゆる多中心型リンパ腫に用いる一般的な抗がん剤のプロトコールの奏効率が
ステロイドを投与していない群だと96%なのに対し
投与してしまっている群だと83.6%にまで低下してしまいます。
また、リンパ腫関連死までの期間についても
ステロイドを投与していない群だと398日なのに対して
ステロイドを使用してしまっている群だと196日となっています。
以前から抗がん剤治療前にステロイドを投与することは
犬さんのリンパ腫の予後に影響する可能性が言われておりましたが
今回の報告もそれを支持する形となっています。
ただ、実際の臨床現場において
状態が悪くなってしまった状態でリンパ腫を疑う、みたいな状況の際に
抗がん剤投与前の全身状態をあげる意味合いでのステロイド投与を実施する場面というのは
少なくないのかなと思います。
今回の報告の中でも
『リンパ腫の治療成績を悪化させる可能性を考慮すると
副腎皮質ステロイドは慎重に使用し
臨床的利益が明らかにリスクを上回る場合にのみ使用すべきである』
と書かれてありました。
症例や状況によってそれぞれ適切に判断していくべきだとは思いますが
使わないでコントロールができるのであれば
化学療法開始前の副腎皮質ステロイドの使用は極力避けたいところです。